ジョン・ロード/クラヴァートンの謎(1933)
(渕上痩平・訳 論創社 2019年)



Amazon : クラヴァートンの謎 (論創海外ミステリ)


親分:こないだ読んだ「代診医の死」が面白かったジョン・ロードの翻訳がまた出たぞ!
  「クラヴァートンの謎」、1933年の作品だ。

ガラッ八:古い作品ですね〜、面白かったですか?

親分:古いけど本邦初訳だ、そして面白かったよ!
  ジョン・ロード(1884〜1964)は売れっ子作家として140冊もの長編を書いたが、
  似たようなパターンの薄っぺらいミステリを量産したためか、死後は急速に忘れ去られた。

ガラッ八:人気ミステリ作家にありがちなパターンですね。

親分:それでもこの「クラヴァートンの謎」は、傑作に数えられている。

ガラッ八:どんな話なんで?

親分:探偵役・プリーストリー博士の旧友クラヴァートン卿は、ロンドン郊外の古い屋敷に住む裕福で気難しい男。
  胃潰瘍で自宅療養中だが、順調に回復に向かっていた。

ガラッ八:古い屋敷、気難しい貴族・・・「英国ミステリあるある」なパターンでやんすね。

親分:共通の友人でもある主治医オールドランドはプリーストリーに、自分は来週ロンドンを留守にするが、卿の様子に注意するよう頼む。
  数週間前に患者の容体が悪化したのは、何者かが砒素を盛ったというのだ。

ガラッ八:でたー、砒素! これまた英国ミステリあるあるですねえ。

親分:怪しいのは、卿の身の回りの世話をしている姪(もと看護婦)、その母親の霊媒師(兄である卿とは不仲)、ちょくちょく見舞いに顔をだす甥(化学者)など。
  いかめしい顔つきの無口な執事もどこか謎めいている。

ガラッ八:これで殺人が起こらなきゃ嘘だってほどのお膳立てですね。

親分:医師がロンドンを離れた翌日、朝食を終えたクラヴァートンは、激しい腹痛を訴え、そのまま死亡。
  プリーストリー博士は当然毒殺を疑い、徹底的な調査を開始するが、驚いたことに死体には毒物の痕跡はなかった。

ガラッ八:ほう、つまり自然死だったというオチですか。

親分:それじゃミステリにならねえだろ!
  死因の不思議に加え、クラヴァートン卿の奇妙な遺言状(家人が誰も知らない女性に多額の遺産を贈与)、卿の妹である霊媒師が開く降霊会、
  そもそも主治医が砒素と言っているのは本当なのかなど、さまざまな謎が交錯する。

ガラッ八:それは面白そうでやんすね〜。

親分: 「代診医の死」では中盤の推理場面が退屈でちょっと眠くなったがこの作品は大丈夫だ。
  プリーストリー博士もちゃんと人間味のあるキャラクターとして描かれている。
  終盤まで、本当に犯罪が行われたのかどうかすらはっきりしないにもかかわらず、じつにスリリング。

ガラッ八:でも、ちゃんとした殺人なんですよね。

親分:「ちゃんとした殺人」ってなあ・・・、トリックは聞けば「なるほど」と思うこと請け合い、盲点を突いたあざやかなものだ。
  シンプルでわかりやすいのもポイント高い。

ガラッ八:シンプルであざやかなトリック! 読みたくなるじゃありませんか、どうしてくれるんですか!

親分:いやお前が聞きたがったんじゃねえか。
  とにかく、1930年代ミステリ黄金期の傑作としておすすめだ。

(2019.06.23.)


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