フォルトゥナート・ケッレリ/ギャラント様式による6つのソナタ
(ルイジ・キアリジア:チェンバロ 2017録音)
Tower : ケッレリ/ギャラント様式による6つのソナタ
Amazon : 6 Sonate Di Galanteria
通販サイトでオススメに出てきたCD。
フォルトゥナート・ケッレリ/ギャラント様式による6つのソナタ
Fortunato Chelleri (1690〜1757)名前すらはじめて聞く作曲家ですが、なんとなくポチっとしてしまいました。
イタリア生まれだそうです。
J・S・バッハより5年遅く生まれて、7年遅く亡くなってます。
国は違えどほぼ同世代ですね。
ソナタ第3番ホ短調よりアレグロ (劇的でダイナミックなアレグロ)
こ、これはっ、俺の好みにピッタリだぜ!
秘孔を突くようにハートのど真ん中にストライクを投げ込んでくる最近の通販サイトのオススメ、おそるべし。
曲は優美で名前も可愛らしいのでてっきり女性で、ジャケット写真の瞳孔間距離の広いオネーチャンが作曲者かと思ったら違いました。
こんなに恰幅の良いオッサンでありました。
ちょっとバッハに似ている・・・でも音楽はかなり違います。
パルマの出身で、フィレンツェ、バルセロナ、ヴェネツィアなどで貴族に仕えたあと、ドイツでバンベルク伯とヘッセン伯に仕え、
さらにはスウェーデンのストックホルム宮廷楽団で働いたそうです。
転職・転勤の多い人生ですね。
ストラヴィンスキーのバレエ音楽「プルチネルラ」には、ケッレリの作品を原曲とした曲があるそうです。
ソナタ第2番ヘ長調よりアレグロ (活気に満ちたアレグロ)
どの曲も上品で洗練の極み、しかもキャッチーです。
耳を惹きつけるフックが効いたフレーズがあちこちに仕込んであります。
これはタダモノではありません、天性のセンスを持った非常に腕の立つ作曲家です、いままで知らなくてごめんなさい。
ソナタ第1番ト短調よりメヌエット (シンプルで可憐なメヌエット)
「ギャラント様式」とはバロック時代の終わり、18世紀中盤に出現した音楽スタイルで、バロックとの違いは主旋律と伴奏がはっきり分かれていること。
バロック時代のフーガや対位法は廃れ、古典派の確固とした形式はまだない、過渡期ならではの自由さが魅力であり弱点でもあります。
まあ過渡期だろうが加藤茶だろうが、こんだけ気持ちよければOKです。
なおバッハはそのころになってもまだ厳格なフーガを書き続け、後輩のヨハン・アドルフ・シャイベから批判されたりしました。
いまでこそ「身の程知らずに大バッハを批判した無知な若造」扱いされてるシャイベ君ですが、当時の音楽の流行からするとそれほど的外れなことは言ってないのです。
ソナタ第5番ハ長調よりジーグ (元気はつらつ!)
イタリア生まれでドイツ・スウェーデンで活躍した作曲家ですけど、なぜかフランスっぽい香りがします。
ソナタ第6番のアレグロの同音反復など、ラモーのクラヴサン曲を連想させます。
ソナタ第6番ト長調よりアリア〜アレグロ (後半の執拗な同音反復が面白い)
(2022.03.27.)
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