カステッロ/ソナーテ・コンチェルターテ
(Europa Galante 1992録音)
17世紀前半にヴェネツィアで活動した音楽家、ダリオ・カステッロ(?〜1630頃?)。
その生涯についてはよくわかっていませんが、クラウディオ・モンテヴェルディ(1567〜1643)が楽長をつとめる
サン・マルコ大聖堂の楽団に所属する管楽器奏者だったようです。
ほとんど記録が残っていないところを見ると、かなり下っ端だったんでしょうか。
上司のモンテヴェルディはマドリガルや歌劇など「歌もの」をたくさん作曲したわけですが、
カステッロの現存する作品は1621年と1629年に出版された「ソナーテ・コンチェルターテ」なる29曲の器楽ソナタのみ。
後期ルネサンス〜初期バロックの生命力にあふれた自由奔放さが魅力的です。
これと言った形式はなく、細かいセクションが次々繋がっていきます。
うつろいゆく旋律の連鎖に耳を惹きつけられます。
ソナーテ・コンチェルターテ第3番 (軽やかに明るく始まり、さまざまに展開してゆきます)
サン・マルコ大聖堂では下っ端(?)だったカステッロですが、バロック・ソナタの歴史ではかなりの重要人物で、
器楽曲がルネサンスからバロックに移行する過渡期を支えた一人と言われています。
そして何より曲がいい!
活き活きとして楽しいです!
ソナーテ・コンチェルターテ第10盤 (愁いを帯びた楽想が美しい。チェロが活躍します)
「ソナーテ・コンチェルターテ(協奏風ソナタ)」というタイトル通り、楽器が織りなすように絡み合い協奏するように書かれています。
なおカステッロは管楽器奏者(トランペット?)でしたが、楽譜には楽器指定はありません(初期バロックの曲はだいたいそうです)。
ファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテのこのCDは、弦楽器で演奏しています。
それにしても 徳川幕府二代将軍・秀忠の時代に、イタリアではこんなお洒落な音楽が作られていたんですね・・・。
(2024.11.01)