黛敏郎/BUGAKU(舞楽)・曼荼羅交響曲
(岩城宏之 指揮/NHK交響楽団)
(デンオン COCO-70506)



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デンオン・クレスト1000 第2弾からの一枚です。
黛敏郎(1929〜1997)が亡くなって、もう6年にもなるのですね。
このCDは、「涅槃交響曲」と並び称される、初期の代表作2曲のカップリング。
これが1000円で手に入るのだから、いい時代になったってことでしょうか
(・・・もっとも、どちらもはじめて聴くんですけど)

結論として、2曲とも、めちゃカッコ良かったです!

バレエ音楽「BUGAKU(舞楽)」(1962)は、ニューヨーク・シティ・バレエから依頼された作品。
2部に分かれていて、第1部は雅楽のような響きで始まりますが、和楽器は全く使われていません
ヴァイオリンが笙のような音を出し、チェロのピチカートは鼓を思わせる響き。
だんだん音量を増してゆき、5分40秒あたりでピアノがあざやかに登場するところでは、
突然異質なものが挿入されたような軽いショックを覚えます
(この、妙に浮いてるピアノ・パート、とっても気に入りました。グロッケンシュピールとユニゾンで動くところなど、じつに面白い)
木琴も活躍し、リズミックに盛り上がったあと、ふたたび静かに消えてゆきます。
第2部は、祭りのような陽気な踊りと、王朝風の静かな踊りが交錯し、大きなクライマックスを形成します。
きわめて日本的な音楽ですが、ストラヴィンスキーの「春の祭典」が好きな人なら、きっと面白く聴けます。

 

「曼荼羅交響曲」(1960)は、「涅槃交響曲」の続編的な作品で、全2楽章17分弱と意外にコンパクト。
曼荼羅絵図にインスピレーションを得て作曲されたそうですが、
「マンダラ」と「コンダラ」の区別もつかんようなこのワタシが聴いてもけっこう楽しめましたから大丈夫。
さまざまな音響が万華鏡のように絡まりあう、日本的・東洋的な音世界。
第1楽章のクライマックスは巨大なカオスとなり、相当やかましいですが、とにかく壮大な音響絵巻。
第2楽章はいかにも「マンダラ〜〜」という雰囲気の夢幻浮遊の世界(わかって言うとるのか?)
キンキラキーンな音が散りばめられて、最後には「ぶっきょー!」という感じの音の大伽藍が立ち上がります。
うーん、書けば書くほど支離滅裂化してきた・・・
とにかく、とても刺激的で面白い音楽です。

 

黛敏郎入門としては、「涅槃交響曲」よりも、このCDのほうが入っていきやすいかもしれません(ホントよ)

(03.4.21.記)


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