カレン・ジョイ・ファウラー/ジェイン・オースティンの読書会(2004)
karen Joy Fowler/The Jane Austen Book Club
(中野康司・訳 ちくま文庫 2013)



Amazon.co.jp : ジェイン・オースティンの読書会 (ちくま文庫)


五十代の独身女性ジョスリンは、友人たちと「ジェイン・オースティンの読書会」を始める。
メンバーは、最近夫から離婚を切り出された40年来の親友シルヴィア、その娘でレスビアンのアレグラ
6度結婚して6度離婚した老女バーナデット、高校のフランス語教師で28歳のプルーディー
そして黒一点、四十代の物静かな独身男性グリッグ
6人は6篇あるオースティンの小説を毎月一冊ずつ取り上げる。
会場はメンバーの自宅を回り持ち。
しだいに、メンバーたちの人物像や悩みや思い出が、くっきりと浮かび上がってくる。


ニョウボが買ってきて、途中まで読んで放置していた本。
なにげなく手に取って、トイレで読み始めて、はまってしまいました、トイレにじゃないよ(←汲み取り式かっ!)。

カレン・ジョイ・ファウラー/ジェイン・オースティンの読書会

ジェイン・オースティン「高慢と偏見」しか読んだことがないのですが、とても楽しく読めました。
読書会のメンバーは個性的であると同時に、みなさん普通の人。
21世紀初頭アメリカ中流階級の等身大の姿を描いているのでしょう、おそらく。
オースティンが、19世紀初頭イギリスの中流階級を生き生きと描いたことに呼応しています。

波乱に満ちたスト―リーはなく、オースティンの6つの長編小説をテーマに月に一度開かれる読書会を軸に、
メンバーたちが6人6様の人生観や悩みや幸福を語り、さらに彼らの生い立ちや家族の話が挿入されます。
オースティンの小説をあまり知らなくても、興味深く読むことができます。
とくにジョスリングリッグの青春時代の回想は、独立した短編小説のよう。

著者の本職はSF作家だそうですが、グリッグがSFマニアという設定以外にそうと感じさせるところはなく、
落ち着いた文学作品というか普通小説として美しく完成しています。

この小説、映画化されているのだそうです。
読み終わってからネットで検索すると、映画に関する記事がたくさんヒットするので初めて気づきました。
どうやら映画のほうは、メンバーたちの恋愛面に重点を置いた作りのようです。
機会があれば見てみようかと思います。
なお原作では恋愛もひとつの要素ではありますが、けっして恋愛小説ではありません。

こういう読書会、参加してみたい気もしますが、
期日までにテーマとなる本を読み込んで自分の意見をまとめておかなくてはならないのですね。
最近、気分がのらない本は途中でやめちゃう事が多いからなあ。
完読率は5割を切ってるんじゃ?
まあ、むかしHPで取り上げた「読んでいない本について堂々と語る方法」を思い出して、
読んだふりをするってのも手ですけどね・・・(コラコラ)。

(2015.03.14.)

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