シューベルト/アルペジョーネ・ソナタ
(ミイシャ・マイスキー:チェロ マルタ・アルゲリッチ:ピアノ 1984録音)



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チェロの先生によるリサイタルを聴きに行きました。
曲目はショスタコーヴィチ/チェロ・ソナタシューベルト/アルペジョーネ・ソナタ
どちらも生で聴くのは初めてだったので、たいへん楽しめました。
ちょっとしか居眠りしませんでした!(←おいおい)

ところで、アルペジョーネ・ソナタは、チェロ・ソナタあまたある中でも指折りの難曲と言われます。
もともとアルペジョーネという「弓で弾くギター」みたいな6弦の楽器のために作曲されたので、
4弦のチェロにとっては音域が高くて難しいのだそうです。

 

しかしCDで聴く限りではひたすら優雅で上品、テンポが速い箇所もあまりなくて、
正直超絶技巧が必要な曲には思えず、「ホントに難曲なんかいな?」と半信半疑でした(いや私は弾けませんが)。

しかし実演に接して納得。
ハイポジションの連続、親指ポジションの嵐、確かにこれは音程取るの大変だわ。
高音部は微妙にずれただけで音程変わっちゃうし。
しかも至る所に左手親指で弦を押さえる「親指ポジション」が頻発、親指痛くなるんですよね、これ。
    
 第1楽章
 

第3楽章も途中から高音域で無窮動状態、低音側の2本の弦は不要なのではと思うほどで、並みのコンチェルトより大変かも。
あと、所々に出てくるピチカートのフレーズも、ギターの調弦を前提に書かれているので地味に難しいらしいです。
    ↓
 

まあシューベルトはそもそもチェロのために書いたつもりはないので、チェリストに「難しいぞ!」と言われても困るでしょうけど。

というわけでたしかに弾くのは大変そうですが首尾一貫じつに優美で麗しく、全曲がひとつの歌のよう。
第3楽章で第1楽章の第二主題が再登場し重要な役割を果たすなど構成的にも隙がなく、シューベルトが弦楽器のために書いたソナタの最高傑作です。

CDは何枚か持ってますが、一番好きなのはマイスキーとアルゲリッチの録音。
遅めのテンポで大人しく始まりますが、マイスキーの柔軟な歌心と振り幅の大きさに触発されてアルゲリッチも次第に熱くなってきます。
濃い表情づけ、揺らぐテンポ、繊細な軽やかさ。
静かな曲ではありますが、内に秘めた激しさを存分に感じさせてくれる、最高に素晴らしい演奏です。

 第1楽章
 

(2019.4.29.)

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