アラ・パヴロワ/交響曲第6番
組曲『親指姫」
(パトリック・ベイトン指揮 モスクワ・チャイコフスキー交響楽団)
HMV : Pavlova/Symphony No.6
Tower@jp : Pavlova: Symphony No. 6
ウクライナ生まれで、モスクワで作曲を学び、現在はアメリカ在住の作曲家、アラ・パヴロワ(Alla Pavlova, 1952〜)。
以前「交響曲第5番」をご紹介したことがあります。
チャイコフスキーの交響曲の緩徐楽章がエンエン50分続くような
ロシアの哀愁とセンチメンタリズムに塗りつぶされたその響き、一種麻薬的な魅力をたたえていました。
新作「交響曲第6番」(2007)は、ゴッホの名画「星月夜」(ジャケット写真参照)にインスパイアされた、40分ほどの作品。
絵画に触発された音楽といえば、
ムソルグスキー「展覧会の絵」、レスピーギ「ボッティチェリの3枚の絵」、ラフマニノフ「死の島」などが思い浮かびます。
もっとも、作曲者によると、とくに具体的なプログラムはなく、あくまでも触発されただけ、とのこと。
ひたすら嘆き節の「第5番」に比べると、よりダイナミックでドラマティック、楽章間の対比も明瞭。
それでも哀愁のロシアン・メロディがそこかしこに仕掛けられていて、聴く者の胸を、いーい感じに締め付けてくれます。
悲しげに歌う独奏ヴァイオリンが全曲的にフィーチャーされていて、あざといまでのセンチメンタリズム大爆発。
フィナーレは、チャイコフスキーの第5交響曲を思わせる盛り上がりです。
交響曲第6番 第1楽章
(現代によみがえったチャイコフスキー?)
前作同様にロマンティック全開でアナクロニズム暴走中、でも前作同様の吸引力。
一気に聴きとおしてしまいました。
この曲流しながら、荒涼たる冬の平原をドライヴしたら気持ちよさそうです。
ちなみに田んぼのあぜ道走ってみましたが全く盛り上がりませんでした(←そりゃそうじゃ)。
断崖絶壁で海を見つめながら、なんてのも良いかもしれませんね(←2時間ドラマかい)。
ちなみにウォークマンに入れて、農業用ため池を眺めてみましたが全然駄目でした(←懲りてない)。
組曲「親指姫」は、バレエ音楽ですが、はっきり言って交響曲と雰囲気いっしょ、
つづけて聴いても全然違和感ありませんから安心(?)です。
情景が目に浮かぶような流麗なサウンド、臆面もなく甘ったるい哀愁メロディの連続、最高です。
ファンタジー映画のサウンドトラックのよう。
第2曲 ワルツ
難しいこと考えず、綺麗な音に身も心も包まれたいアナタにおすすめです。
(10.9.26.)
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