あかぼし俳句帖(全6巻)
(有間しのぶ・原作 奥山直・絵 小学館 2015〜17)

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会社では窓際族、年下の上司に頭を下げる55歳のバツイチ独身サラリーマン明星啓吾。
行きつけの小料理屋で、俳句をたしなむ若き美女・水村翠と知り合う。
明星は下心むきだしで、翠に俳句の指導をお願いする。
時代の波にも、出世の波にも乗り遅れた男の人生が、十七音に彩られはじめる・・・。


バッハ/無伴奏チェロ組曲第2番のメヌエットが死ぬほど難しくて泣きそうな木曽のあばら屋です。

 バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番・メヌエット
 

とくにメヌエットTの重音連続攻撃には、左手がつりそう。
無理無体な曲げ伸ばしを毎日のように強いられる左手の指は、悲鳴をあげております。
この曲は二声部になっていますが、上のメロディと下の声部の動きを同時に意識、「二声部感」を出して弾くのは至難の業。
音が全然つながらりません。
もう1か月以上ずっと練習してるんだけどなー。

いくら練習してもできるようにならないのは、中年から始めた稽古事あるあるでしょうか。

さて、中年男が習い事を始め、だんだんはまっていくというのは、映画・小説・マンガによくあるパターン。
映画「Shall We ダンス?」なんて、典型です。

「あかぼし俳句帖」は、俳句をテーマにした「中年男手習いコミック」の傑作。
美人につられて始めるところからして「Shall We ダンス?」パターンをしっかり踏んでいて、様式美すら感じます。
やっぱり俳句は様式を大事にするんだなあ(違う)。


 第1話試し読み


ストーリーは、設定から予想される範囲を逸脱しない安定・安心な展開。
志を同じくする仲間との出会い、淡い恋心、ライバルの登場・・・。
そして「句会」とか「俳句結社」とか「吟行」とか、名前は聞いたことある気もするけどよく知らない事柄についてわかりやすく教えてくれます。
なるほど俳句の世界ってこうなってるんだ。
しかし「俳句結社」って秘密結社みたいでなんかドキドキするな(子供か)。

 これ読んで ちょっと俳句が やりたくなり(季語なし)。

全6巻完結ですが、終わり方は尻切れトンボ感が漂い、ひょっとして打ち切りなのかも?
正直「もうちょっと読みたかった」と思わされる傑作です。

(2017.07.12.)





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