白夜のアダージェット(ADAGIETTO, 1997)
(ユハ・カンガス指揮、オストロボスニア室内管弦楽団)
Amazon : 白夜のアダージェット
十年以上こっそり愛聴しているCDです。
なぜこっそりする必要があるのかよくわかりませんが。
白夜のアダージェット
北欧の作曲家の弦楽合奏曲を集めたアルバムです。
静かで穏やかでゆるやかなテンポの曲ばかり17曲。
そして、有名曲は1曲もありません。
「なにその地味なアルバム?」と思われるでしょうが、これがなんとも超絶に美しいのです。
オルカル・リンドベリ/アダージョ
こんな感じの曲ばかり17連発。
透明な小川の水がしたたるようなみずみずしさ、凪いだ海の波がたゆたうようなやさしい揺らぎ。
清冽で艶やかな弦の音、郷愁を誘うシンプルなメロディ。
曲が変わったのにも気がつかないほどです。
スヴェンセン/天の砦の下なるすべて
まあ、はっきりいえばヒーリング・ミュージックです。
「アダージョ・カラヤン」(1995)のヒットを受けて一時雨後のタケノコのように発売された「癒し」アイテムのひとつではあるのですが、
あえて知られざる作曲家の知られざる作品にこだわることで、唯一無二の輝きを発揮した名盤といえます。
ニールセン/ボヘミア=デンマークの民族曲
もちろん高速道路を120kmでぶっ飛ばしているときとか、果たし合いの前とか、運動会のBGMには向きませんが、目を閉じて静かにリラックスしたいときには至高の一枚。
甘くてセンチメンタルでほのかに暖かいシルクのような音がずるずる止めどなく流れて消えてゆきます、ああたまらん。
カヤヌス/アダージェット
ひそやかに耳をなで、さらりと通り過ぎてゆく、優美で可憐なハーモニー。
北欧音楽素敵だなあ、行ってのんびりしたいなあ、白夜ってきれいなんだろうなあ、でも寒いんだろうなあ、などと能天気な憧れ気分にひたります。
(2020.03.08.)