ヴィヴァルディ&ピアソラ/ふたつの四季
イタリア合奏団(DENON COCO-70429)
Amazon.co.jp : ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
HMV : ヴィヴァルディ/ピアソラ ふたつの四季
前項で取り上げたモーツァルトと同じく、「デンオン・クレスト1000」からのご紹介です。
イタリア合奏団:ヴィヴァルディ&ピアソラ/ふたつの四季
アントニオ・ヴィヴァルディの、あの有名な「四季」と、アストル・ピアソラの、クラシックファンにはまだそれほどあまり有名でない「ブエノスアイレスの四季」を組み合わせたディスク。
録音は1996年。 とても面白いカップリングです。
そういえば1998年には名ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメル率いる「クレメラータ・バルティカ」も、同じ曲目のCDを録音しています (タイトルは”Eight Seasons”) 。
私、こちらのほうは、発売と同時に買って聴きました。
しかしクレーメルらしい才気は存分に感じさせてくれるものの、あまりに鋭角的/攻撃的な演奏ぶりに、ちょっとついていけなくて、
以後ほとんど聴き返していません。 (一般的には絶賛されました、念のため)
さて、イタリア合奏団の演奏、今回初めて聴いたんですが、とても良かったです。
通奏低音に、チェンバロだけでなく、テオルボ(ギターみたいな楽器)とオルガンを動員、つごう3つの楽器で音楽を支えます。
チェンバロとオルガンが両方同時に入るって、かなり珍しいと思います。
のっけからオルガンのほわーんとした響きが弦楽合奏を包みます。
「夏」の第3楽章は、最近流行りのヘビメタっぽい、「いっそドラムスも入れたらどうですか」みたいな演奏ではなく、折り目正しいクラシック音楽として演奏されます。
かえって新鮮だったりします。
「秋」の第2楽章では、テオルボが即興で幻想的なアルペジオを奏で、
「冬」の第2楽章では、チェンバロに加えてオルガンが優しい暖かさを演出します。
要するに昔ながらのオーソドックスな上品系演奏。
「物足りない」という人もいるかもしれませんが、流麗なうたごころに満ちた名演だと思います。
少なくとも私は、クレーメル盤より、こちらが好みだったりします。
さて、ここ数年、クラシックの演奏家が積極的にアストル・ピアソラをとりあげるようになりました。
クレーメルの "Eight Seasons" では、ヴィヴァルディとピアソラを交互に収録しているのですが、
イタリア合奏団は、ヴィヴァルディが全曲終わったあとでピアソラです。
彼らの「ブエノスアイレスの四季」は、クラシック音楽的な端整な美しさを強調した、クールな演奏。
「四季」で見せてくれた暖かみとはまた違った世界が楽しめます。
ブエノスアイレスの春 (オッシャレ〜!)
ただ、「ブエノスアイレスの四季」に関しては、クレーメルの演奏もとっても良かったです。
現代音楽風なアレンジで、随所でヴィヴァルディの「四季」も引用、ソロ・ヴァイオリンのカデンツァもあり、
まるでクレーメルのオリジナル曲のよう。イタリア合奏団とは完全に別の曲になってます。
ブエノスアイレスの春
(02.6.24.記)
クレーメルの"Eight Seasons"
Amazon.co.jp : Vivaldi and Piazzolla: Eight Seasons
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