堀江敏幸/雪沼とその周辺
(新潮文庫 2007年)



Amazon.co.jp : 雪沼とその周辺 (新潮文庫)


<ストーリー>
山あいの小さな街・雪沼
今日を限りに廃業するボウリング場。
東京から移り住んだ老婦人が営む料理教室。
商店街のなかの小さなレコード店。
使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる人たち。
日々の移ろいのなかに、人生の甘苦を映しだす連作小説集。


美しい黄昏


相変わらず仕事に追い立てられる毎日が続いていますが、なんだかもう体が慣れてきましたねー。

それに、中学生の娘たちがまた、私に劣らず忙しい生活を送ってますので、
つい「負けるものか!」と闘争心を燃やしてしまうのです(←闘争心向ける方向が間違ってます)

娘たちはふたりとも吹奏楽部に入っています。
6月のコンサート、8月のコンクールに向け、土曜も日曜も毎日練習です。
さらにいちおう塾にも行かせてるし、ピアノも続けています。
朝は私より早く家を出て、夜は私より遅く帰ってくることもあるほど。
本人たちは慣れてしまったようで、平然としてますが・・・。

考えてみると、私の中学時代はもっとのんびりしていました。。。
今の子供たちは大変ですねホント。


堀江敏幸「雪沼とその周辺」

雪沼という小さな街で、静かに暮らす人々の日常を描いた7編。
登場人物はみなどこか時代に取り残されたような雰囲気を帯びています。

ボウリング場のオーナー「ブランズウィック社製の最初期モデル」のピンセッターが大好きで、
保守部品が入手できなくなったのをひとつのきっかけに廃業を決意します。
レコード店主は、CDが世の中を席巻しても、店ではアナログレコードをかけます。
オーディオは「木製サイドボードのような三幅対のステレオ装置」です。

べつに波乱万丈のストーリーはなく、日々の生活を淡々と、でもくっきりと描きます。
読んでいる間は、山あいの小さな街の住人になってしまいます。
読み終わっても私は小さな街の住人ではあるのですが・・・(海辺ですけど)

ここ雪沼では、時間は静かにゆっくり流れているようです。
あくせく急いでいる人は見当たりません。
もちろん決して楽園ではありません。
町工場には後継者がいないし、先生が亡くなった料理教室はそのまま閉じられます。
不慮の死を遂げた人も、若くして病気で亡くなる人もいます。
商店街の小さなレコード屋の将来も、それほど明るいとは思えません。

それでもこの、美しい黄昏のような世界には、非常に居心地のよいものを感じます。
ゆっくりと滞在させてもらいましょう・・・。

(09.6.13.)


「本の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ