柴田よしき/ワーキングガール・ウォーズ
(新潮社・2004年)



Amazon.co.jp : ワーキングガール・ウォーズ

<ストーリー>
 墨田翔子、37歳、独身、大手総合音楽企業の企画部第2企画課・係長。
 仕事はできるが、きつい性格と口の悪さで上司からも部下からも煙たがられている存在。
 社内では若手女子社員へのいやがらせ事件が起こったり、
 旅行先のケアンズでは他人の恋愛がらみの騒動に巻き込まれたり、なかなか大変な毎日。
 一方、翔子の友人で、ケアンズの小さな旅行会社勤務の嵯峨野愛美も、
 30歳を迎え、人生に迷いながら仕事に追われる日々。


男たちが情けない。
と言うか、一人を除いてあらゆる男性登場人物が情けな〜く描かれています。
この会社には、仕事のできる男はひとりもおらんのですか? 女で持ってるんですか?
「小説新潮」に連載していたということですが、あの雑誌は確かおじさんの購読者が多いはず・・・
読者からのクレームはなかったのか、少々心配になるほど。

しかもそれを読んで、「これ面白い」と、HPで紹介する男性読者がいたりするんだからまた情けない(自分のことだろ!)
まあそれはともかくこの小説、なかなか爽快です。
ラスト近くでセクハラ上司をやっつける翔子、実にカッコイイ。

連作短編形式で、翔子の視点と愛美の視点がほぼ1話ごとに切り替わりながら進行します。
しかし、第1話で起こった若手社員への嫌がらせの真相が最終話で明らかになるなど、
長編としての構成も兼ね備えています。
柴田よしきさんは、ミステリも多く書いている人で、本書も「日常の謎」っぽい部分もありますが、
本格度は高くなくて、基本的に普通小説。
悩みやストレスを抱えながらも、軽いフットワークで仕事と人生に立ち向かってゆく女性たちの姿に、
男どもも奮起しなさいということか。
楽しく読めました。 TVドラマ向きですねこれは。 頭の中で配役を考えながら読むとさらに楽しいかも。

(05.1.2.記)

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