岡部真一郎/ヴェーベルン(春秋社 2004年)



Amazon.co.jp : ヴェーベルン―西洋音楽史のプリズム

オーストリアの作曲家、アントン・ヴェーベルン(1883〜1945)。
シェーンベルク、ベルクとともに、「新ウィーン楽派」として、オクターヴのすべての音を平等に扱う「12音音楽」を推進しました。
「わけわからん現代音楽」の原点といわれる12音音楽は、いわば「組織だてられた無調」
12の音をひとつづつ使った「音列」を操作して音楽を構成してゆきます。

ヴェーベルンさん、今や「一切の無駄と妥協を排した純粋な音の美学の求道者」として、ほとんど神格化されています。
しかし私なんかが聴くと、「いつ始まっていつ終わったのかわからない」うえに、さっぱり感情移入できないところが非常にツライ。

そんなヴェーベルンの魅力(?)は、曲の短さと少なさ(おいおい)
「交響曲 作品21」は10分程度、「管弦楽のための5つの小品 作品10」は5分弱、そのなかで一番短い曲は30秒です。

 管弦楽のための5つの小品 作品10
 

初期の未発表曲まで全部かき集めた全集はCD6枚。 忍耐力があれば半日で聴けます。
 (ちなみに生前に発表された作品だけならCD3枚におさまるとか。)
私もヴェーベルンのCD、数枚持ってます。全集じゃないですが(そしてほとんど聴いてませんが)。

死蔵しているCDを無駄にしないためにも(?)読んでみたのですが、いきなり笑えたのが子供のころの写真(15ページ)。 
大人になってからとおんなじ顔しています。 気難しい顔した子供だったんだなあ。
ほかにも、意外に(?)純愛だった奥さんのこととか、師・シェーンベルクとの妙に怪しい関係とか(BL?)、
かなり親ナチスだったフシがあることとか、興味深い話でした。

そして、1945年、ドイツ=オーストリアは敗戦。
ヴェーベルンは娘の一家と同居していましたが、娘の夫はじつは闇取引に関わっていて、米軍に目をつけられていました。
9月15日夜、おそらくそんなことは知らなかったヴェーベルン、孫に遠慮したのでしょうか、家から出て、玄関先でタバコを吸うために火をつけたところ、
家を見張っていた米軍兵士がその火に向かって発砲、即死でした。

さてこの本、ヴェーベルンの音楽が、きわめて論理的かつ数学的に書かれていることを、これでもかこれでもかと細かく論じたうえで、

 「どんなに緻密に書かれていても、聴いていてそれを認知することができない」(165ページ)
 「聴いても分からないようにわざわざ書かれている」(同)
 作曲家は骨組が分かることを望んでいなかった。(同)


と述べてます。
つまり、聴く者は、12音理論など知らなくても、ただ音の美しさ・面白さを楽しめばよい、ということ。
「美味いものを味わうのに、レシピを知っている必要は無い」と言いたいわけですね。

わかりました、それではヴェーベルンの音楽、何も考えず、虚心に聴いてみましょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・ぐわわわわわ、やっぱりわけわからんっ!!
                        (あ、わからんでもいいのか・・・)
(04.7.18.記)

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