MJQ/No Sun in Venice
モダン・ジャズ・カルテット/たそがれのベニス
(1957)



Amazon.co.jp : No Sun in Venice

<曲目>
The Golden Striker
One Never Knows
The Rose Truc
Cortage
Venice
Three Windows

親分:おーい、八やい、いるかい? ちょっと遊びに来たぜ。

ガラッ八:
あ、親分こんちは〜。

親:うわっ、なんでぃそのモジャモジャ&ボサノバ頭は。 研究室が爆発したみてえだぞ。

八:ただ寝てただけですがぁ〜。 じつはあっしは寝ぐせがひどっくて。

親:(ひどいのは酒ぐせだけじゃなかったのか・・・。)

八:ゆうべはモダン・ジャズ・カルテット"No Sun in Venice(たそがれのベニス)"というアルバムを聴いてまして〜。
 気持ち良くてそのまま寝ちまったです。ふわ〜。

親:映画のサウンドトラックとして作られた、MJQ初期の傑作といわれる一枚だな。

八:で、聴いてて不思議に思ったことがありやして・・・。 ちょうどいいや、親分に訊いてみよう。

親:なんだい?

八:これってホントにジャズなんですかい?

親:なに言ってるんだいお前、モダン・ジャズ・カルテットがジャズじゃなかったら一体なんなんだよ。
 演歌か?レゲエか?ヒップホップか?

八:でも、アドリブがほとんどないみたいなんですけどコレ。 ジャズって、やっぱアドリブでしょ。

親:え?(聴く)・・・うーむ、確かに。
 4つの楽器が精緻にからみあい、美しいタペストリーを描いているが、 自由にアドリブを展開しているような箇所は、見当たらないな。

 The Golden Striker
 

八:あと、各曲のテーマも微妙に関連してるみたいでやんす。

親:ライナーノートには、トラック6"Three Windows"に出てくる3つのテーマが、
 それぞれトラック1"The Golden Striker"、トラック4"Cortage"、トラック3"The Rose Truc" で展開されると書いてある。

八:先に展開して、あとから提示・・・手の込んだ構成でやんす。

親:対位法的な絡みも緻密に計算されていて、確かにこれはアドリブじゃねえな。
 そういえばサブタイトルとして"Original Film Score by John Lewis"と書いてある。
 ピアノのジョン・ルイスが書いたスコアに、忠実に演奏しているんだろう。
 MJQは、そもそも端正でクラシカルな演奏が売りのグループだが、曲によってはノリのいいアドリブを聴かせることも多い。
 アルバム一枚、完璧に作曲してるのは、よく知らないがこの作品くらいかも。

八:なんかムツカシイこと言っちゃってー。
 まあ、綺麗な音楽だから、あっしはどうでもいいんですけどねぇー、あはははぁ。

親:お前なあ、話を振っておいて、そりゃないだろう。
 しかしまあ、アドリブであろうがなかろうが、聴くほうには関係ない話か。
 聴いて楽しければそれでいいのかもしれん。
 このアルバムには、奔放なアドリブが無い代わりに、良く練られた完成度の高さがある。

 One Never Knows
 

八:ミルト・ジャクソンのヴァイヴの音、琥珀色って感じですねえ。 いい気持ちになりやす。

親:お前の音楽の趣味もずいぶん良くなったもんだ。
 そういえば、なんだか琥珀色の飲み物が飲みたくなってきたなあ・・・。

八:あ、これは気がつきやせんで。 はい、これをどうぞ。

親:うむ、ごちそうになるぜ。・・・・ぺっぺっ! こ、これはなんだっ!?

八:へい、ハチミツの麦茶割りでして、最近気に入ってるんです。

親:頼むから飲み物の趣味も良くしてくれー!

(07.5.27.)


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