ジャック・ヴァンス/奇跡なす者たち
(朝倉久志・編 国書刊行会 2011年)




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長女が北海道修学旅行から元気で戻ってきました。
いやあ、よかった、よかった。
みんなで待っていたよ、きみの・・・・・・・・お土産を 帰りを!

 さあ、カニ鍋だ!!(やっぱり土産かい!)

ちなみに最近の修学旅行は食事も豪華らしく、
長女はウニとかイクラとかジンギスカンとかスープカレーとか
北海道ならではの美味しいものをいろいろ食べたそうです。

気候も風景も四国とは全然違っていて、ちょっとした異世界体験

帰ってきて言うには

 「あー、うどんが食べたい!」

・・・はい、香川県民は5日ほどうどんを食べないと手が震えます。
(しかし食べることばっかし)


さて異世界といえば
アメリカのSF作家 ジャック・ヴァンス(1916〜)
(2011年現在、まだ存命だそうです)。

 異世界構築のマエストロ

と呼ばれているんだとか。

アメリカでは大きな人気と尊敬を集めているそうですが、日本ではほとんど知られていません。
私もはじめて読みました。
これまで長編はいくつか紹介されてきたけれど、
短編集が日本で出版されるのは最初だそうです。

 ジャック・ヴァンス/奇跡なす者たち


 どうして人気が出ないのか不思議なほどの面白さでした!

8つの短編で描かれる世界はどれも魅力的ですが、
とくに「月の蛾」に登場する惑星シレーヌが最高。
ここでは会話は楽器を演奏しながら歌うこと、つまり弾き語りで行われ、
しかも相手の社会的地位によって楽器や歌い方を変えなければなりません。
もちろん歌や演奏が下手だと馬鹿にされます(あ、私は駄目だ・・・)
さらに素顔をさらすことがタブーとされており、住民は意匠を凝らした仮面をつけて暮らしています。
その仮面も、社会的地位や財産などによって細かい区別が。
毎日がミュージカル&仮面舞踏会な惑星に派遣された地球人領事の奮闘が、ユーモラスかつサスペンスフルに描かれます。
ヴァンスの全作品中でも最高ランクに位置する名品と聞いて深く納得。
切れの良い文章で惑星シレーヌの社会をいきいきと描き、文学的香気をただよわせながら同時に笑える大傑作

「最後の城」も良かったなあ(ヒューゴー賞/ネヴィラ賞 受賞)。
植民した惑星に豪奢な城を築き、ヨーロッパ貴族のようなライフ・スタイルを守り続ける人々。
労働や生産は先住民にまかせ、優雅で贅沢な生活を送っていたが、700年ほどたったある日、とつぜん先住民が反乱をおこす・・・。

・・・いやー、やっぱり人間、額に汗して働いてナンボですね。
私ももっとまじめに働こう・・・と思ったことであります。
あと口の悪い巨鳥たちが可愛かった。

いっぽう、舞台となる異世界についてほとんど何の説明もない、9ページの掌編「ミトル」
逆に想像力をかきたてられます。
スルドく印象に残りました。


地味で渋い装丁でちょっと損するんじゃないかと心配ですが、
いながらにして8つの異世界に遊ぶことができるチョー素晴らしい短編集!

ジャック・ヴァンス、もっと読みたいですー!

(11.10.24.)


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