東野圭吾/トキオ(時生) (講談社 2002年)


Amazon.co.jp : 時生

<ストーリー>
 宮本拓実の息子・時生は、グレゴリウス症候群という難病に冒され、まもなく19歳の命を閉じようとしています。
 看病に追われるなかで、拓実はふと思い出します。
 20年以上前、粗暴ですぐにキレるし、無職で文無し、親に捨てられた過去を恨んでひねくれていた自分の前に、
 突然現れた トキオという不思議な青年のことを・・・。


東野圭吾さん、押しも押されもせぬ大作家です。 なんで直木賞とれないのか不思議です。

もっとも、私は東野さんの作品はあまり好きではありません。
「秘密」は、ぜんぜん泣けなかったし、「白夜行」は、主人公二人の暗〜い情念が怖かったし、
「片想い」は、どういう話だったのか忘れてしまったし、
「ゲームの名は誘拐」は、イヤミったらしい主人公のスーパーマンぶりが鼻についたし、
「レイクサイド」は、登場人物の小市民的な独善ぶりが鼻についたし、
「手紙」は、あまりにも重いテーマに打ちひしがれたし、好きではないといいながらたくさん読んどるやないか。

で、結局のところ東野作品で一番好きなのは「名探偵の掟」(講談社文庫)だったりします。
東野さんはこれ一作で本格推理小説史上に永遠にその名を刻まれることでしょう(ホントかな?)。

「トキオ」は、2002年の作品ながら、なぜか読み残していた長編。
息子が過去の世界に行き、若き日の父親を助けるといえば、
これはもうそのまんま「バック・トゥ・ザ・フューチャー」じゃないですか。
陳腐といえば陳腐、パターンどおりといえばそうなのですが、やっぱり面白い。
トキオと拓実が出会うのは1979年、懐かしい風俗ネタも、お約束的に満載です。
TVでピンク・レディーを見たトキオが、「若いなあ、こんなに若い頃もあったんだ」と感心するところなどなど。

拓実とトキオはなぜか犯罪がらみのゴタゴタに巻き込まれ、拓実の恋人・千鶴を救うために奔走します。
拓実の出生の秘密も同時に明らかになり、やがてトキオとの避けられない別れが。
最後には年甲斐もなく涙をこらえるのに必死になってる私でした。

いやあ、よかったなあ〜、と思って、ネット上で他の方々の感想を検索してみると、
もちろん賛辞も多いのですが、意外なほど厳しい感想が目につくことに驚きます。
「甘い」「ヒネリがなさすぎ」「拓実のバカっぷりにイライラする」「トキオが賢すぎる」「浅田次郎みたい」・・・
いやあみなさん手厳しいですなあ。 言われてみればそういうところもあるかもなあ。 
まあ、でも、楽しく明るく読めて、最後にホロリとさせてくれるエンタテインメントでした。

ちなみに、グレゴリウス症候群というのは架空の病気だそうです。
(04.7.4.記) 

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