有橋淑和/チェンバロ・レボリューション
(2002)




Amazon : 有橋淑和/チェンバロ・レボリューション

<曲目>
ラヴェル:スピネットを弾くアンヌ(1896)
マスネ:メヌエット(1906)
ドニゼッティ:変奏曲ト長調(1810頃)
ディーリアス:舞曲(1919)
トーメ:リゴドン作品97(1891)
ブゾーニ:ソナチネ第3番「子供のために」(1915)
R.シュトラウス:カプリッチョ組曲(1944)
タンスマン:前奏曲とフーガ(1936)
信時潔:東北民謡集より「さんさ時雨」「南部牛追唄」(1941)
チェレプニン:組曲(1966)
ショスタコーヴィチ:オフェーリアの踊り(1963)
ヴァインベルク:ヴィンニ・プーフ(熊のプーさん)(1969)
ロドリーゴ:前奏曲とリトルネッロ(1978)
伊福部昭:サンタマリア(1979)と小ロマンス(2002)
ジャン=ジャック・ペリー:バロック・ホーダウン(オリジナル・チェンバロ版)


アイドル歌手のアルバムと見紛うようなジャケットですが、実はこれ、チェンバロの隠れた名盤であります。

 有橋淑和/チェンバロ・レボリューション(2002)

近現代にチェンバロのために書かれた作品を集めたアルバムで、演奏者の名前は「ありはし・すみな」と読みます。
19世紀末〜20世紀にもチェンバロ曲がけっこう書かれていたことに、まずは目を見開かれる思い。
それもラヴェル、マスネ、R・シュトラウス、ショスタコーヴィチ、ロドリーゴなど錚々たる名前がずらり。
なんとヴァインベルク伊福部昭もいます、なんだこのラインアップは、近現代作曲家がくんずほぐれつのバトルロワイヤル状態かよ。

考えてみればチェンバロは現代のイージーリスニングや映画音楽でもよく使われています。
代表格と言えばこれでしょう。

 


それにしてもこのアルバム、センスの良い選曲が素晴らしいっす。
知られざる作品ばかりですが、どれもこれも名曲ばかりです。
こんないい曲どこに隠れてたんだよ。
なお現代音楽っぽい作品はあえて収録されていません。

 ラヴェル:スピネットを弾くアンヌ(1896)  チェンバロ伴奏歌曲の伴奏パート。歌がなくてもとっても魅力的。
 

 トーメ:リゴドン作品97(1891)  いかにもチェンバロ向きの洒落た曲、ちょっとラモーっぽい。
 

 ショスタコーヴィチ:オフェーリアの踊り(1963) 映画「ハムレット」のための音楽で、ショスタコーヴィチ唯一のチェンバロ独奏曲だとか。
 

「海ゆかば」で有名な信時潔の「東北民謡集」から「さんさ時雨」
チェンバロが琴のように聴こえ、日本情緒が薫ります。
しかしチェンバロで東北民謡とは・・・・・・アフタヌーン・ティーセットのお菓子にずんだ餅が出てきたような衝撃と申せましょうか。
 

ミエチスワフ・ヴァインベルク「くまのプーさん」は、ソ連で作られたTVアニメのテーマ曲(旧共産圏では有名なアニメらしい)。
短くて可愛らしく、ちょっと物悲しくて、いかにもヴァインベルクらしいセンスの良い音楽です。
 

伊福部昭の「サンタマリア」と「小ロマンス」は、それぞれ映画「お吟さま」「眠狂四郎多情剣」のための音楽。
収録を打診された作曲者は、「お吟さまはそのままで構わないが、もう一方は敬愛するラヴェルやタンスマンと並ぶにはこれでは忍びないので書き改める」といって改訂、
「小ロマンス」と名付けたそうです。
ライナーノートにはその経緯を記した片山杜秀先生の熱のこもったエッセイも収録されています。
伊福部ファンは必聴です。

 伊福部昭:サンタマリア(1979)
 

 伊福部昭:小ロマンス(2002)
 

最後に収められたジャン=ジャック・ペリー:バロック・ホーダウンは、ディズニーランドのエレクトリカルパレードのテーマ曲。
1967年にムーグ・シンセサイザーの曲として発表されましたが、チェンバロの音が使われたとのこと。
のちにウォルト・ディズニー本人がこの曲をエレクトリカルパレードのテーマに使いたいと希望したそうです。
 

選曲はマニアックですが、気楽に楽しめる作品を詰め込んだ趣味の良いCD。
チェンバロをバロックの世界だけに押し込めておくのは勿体ないですね。
解放せよ、チェンバロを! 異議なし!
一味違ったチェンバロ・アルバムとしてオススメです。

(2020.11.23.)

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