ベルナルド・ストラーチェ/ハープシコード作品集
(芥川直子:ハープシコード 2009録音)
Amazon : ストラーチェ:チェンバロのための音楽集
ベルナルド・ストラーチェ(1637?〜1707?)は、生没年も経歴もよくわからない謎の作曲家。
とはいえ17世紀の作曲家なんて、ちゃんと経歴がわかっている人のほうが少ないのかも知れませんが。
現存する作品は、1664年にヴェネツィアで出版された鍵盤楽器のための作品集のみ。
他にもいろいろあったらしいのですが、散逸してしまったのだとか。
しかしまあこれだけでも残ってよかったです。
素敵な曲が詰まった超素晴らしい曲集です!
生き生きと跳ね回る音は初期バロックらしい自由な躍動に満ちています。
ストレートでダイナミック、カラフルでポジティブ、理屈抜きで楽しい音楽です。
シャコンヌ (シャコンヌがもとはダンス・ミュージックだったことが納得できます)
パッサカリア ハ短調 (荘重で優雅なパッサカリア。)
350年以上前の音楽ですが、音の身振りは明快で軽やか、現代人の感性にぴったりフィットします。
玉を転がすような音の連なりが気持ちよく、食事時のBGMに流しておくと酒が進む進む(←オイオイ)。
軽快で素速いパッセージに煽られるようにクイクイいっちゃいます。
少々危険な音楽かも知れません、イタリアの音楽だけにとくにワインは危ないぞ。
「ラ・モニカ」による変奏曲 (哀愁を帯びた魅力的な主題が繊細に変奏されてゆきます)
「ア・ラ・ミ・レ」によるパッサカリア (10分に及ぶ堂々たるパッサカリア)
ベルナルド・ストラーチェ、謎の作曲家ではありますが、性格の良い人で、仕事に恵まれ充実した人生を送ったんじゃないかな〜という気がします(根拠なし)。
ドイツを拠点に活躍するチェンバロ奏者、芥川直子の演奏もノリがよくて素晴らしいです。
凛とした品があり、メロディの歌わせ方などには瑞々しい色気があります。
アルトロ・パッソ・エ・メッツォ (これも変奏曲。後半からの盛り上がりが華やか)
(2021.07.17.)