ジェラルド・クリックスタイン/成功する音楽家の新習慣
(藤村奈緒美・訳 古屋晋一・監修 ヤマハ 2018年)



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欧米の音大生が読んでいる“一生使える音楽家の教科書"!
楽器やプロ・アマを問わず、声楽家を含むすべての演奏家のために。
演奏家・教育者として30年以上にわたるキャリアを持つ著者が、
最新の研究と豊富な経験から得た知見を余すところなく盛り込んだガイドブック。


ただいま平成から令和への改元を挟んだ連休中、家でのんびりしています。
こんな時こそ趣味のチェロをしっかり練習したいところですが、時間が無くて楽器弾く暇がないんですよね。

 え、なぜ時間がないのかって?

 この本を熟読しているからです。

 ジェラルド・クリックスタイン/成功する音楽家の新習慣 〜練習・本番・身体の戦略的ガイド〜


   ・・・清々しいまでに本末転倒です!!

いや、ホントに時間かかるんですよ、厚くて重いし。

アメリカの音大の先生による、「効率的な音楽の練習法」の本です。
クラシック、ポピュラー、声楽、なんにでも応用できます。
ただいま音楽関係者の間でめちゃくちゃ売れているらしいです。

確かに良い本です。
読むだけで楽器が上手くなったような気になります(←いやそれアカンやろ)。

第T部のタイトルは「練習上手になるには」
うすうす感じてはいたのですが、むやみに長時間練習しても効果は少ないとはっきり書かれています。
短くても内容のある練習をするべきだし、30分に1回は休憩したほうがかえって効率が良いそうです (休憩の仕方まで細かく書かれてます!)。
その他もろもろ、「上手で効果的な練習法」を手取り足取り教えてくれます。
とりあえず、録音・録画してフィードバックするのは最強 (ただし私の場合は自己嫌悪に陥ります)。

ほかにも忘れにくい暗譜の方法とか、モチベーションの上げ方とか、本番前の時間の過ごし方とか、じつに懇切丁寧。
「ドラッグには手を出すな!」って項目があるのはさすがアメリカ、実際に薬でキャリアを台無しにした学生の逸話を交え、リアルです。
「故障を防ぐ」という章もあってスポーツ選手かよと思いますが、無理な練習や、楽器・機材の運搬で身体を痛める音楽家は多いんだそうで、
それを防ぐ方法について具体的に書かれています。

当たり前ですが、「〇か月で完全マスター!」みたいな魔法の上達法は存在しません。
地道な練習をどう積み重ねるのがいちばん効果的かを、真面目に論じた本です。

読者対象は基本的にプロの音楽家を目指す人ですが、アマチュアが読んでも得るものは多いと思うし、
音楽以外の芸能やスポーツ、仕事、ビジネスにも通じるものがありそうです。

(2019.05.02.)

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