新ウィーン楽派ピアノ作品集
(高橋悠治 坂本龍一  1977年録音)
(デンオン COCO-70538/9)




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デンオン・レーベルから、「クレスト1000」という1000円盤シリーズの第2弾が発売されました。
第1弾同様、クラシック・マニアが泣いて喜ぶアイテムがずらりと並ぶ、しぶ〜いラインアップです。
2枚組は1500円という、さらにお得な値段になっています。

ほっとくと、ついまた買い込んでしまいそうですから、
財布の中身、聴く時間、CD置くスペース、その他もろもろの要因を分析・熟考のうえ
何を購入すべきか冷静に選択して・・・と思いながらCDショップへ行ったワタシ。
でも、帰りの荷物がとっても重かったのは、なんでだろ〜。(そういえば財布はとっても軽かったぞ)

この「新ウィーン楽派ピアノ作品集」も、2枚組1500円でなければ多分買わなかったディスク。
(完全にメーカーの思惑にのせられてるがな)
「新ウィーン楽派」は、20世紀初頭、シェーンベルクが考案した「12音技法」という理論を採用した作曲家のグループ。
この「12音技法」とは、オクターブの中の12の音を全て平等に扱うもので、
12の音をテキトーに(?)並べた音列(セリー)をつくり、その「セリー」に基づいて作曲します。
一見(一聴)、調性もメロディもない、でたらめな音楽に聴こえますが、
実は、とても緻密な理論に基づいて作曲された音楽だというのですから、世の中わからないものです(??)。
要するに、現代音楽であり、抽象画のような印象を与える音楽です。

 シェーンベルク/6つのピアノ小品(このCDの演奏ではありません)
 

ただその抽象的な響きには、はっとするほど美しい瞬間があります。
硬質のクリスタルのような、ストイックでひんやりとしたその響きを味わうことができれば、
一応それでいいんじゃないかな(ホントか〜?)、と思いながら、けっこう楽しく聴きました。
2枚目の後半には、シェーンベルク達が12音技法を確立する以前の、ロマン派っぽい曲も収められています。
メロディのある普通の音楽なのですが、1枚目を聴いたあとでは、これがなんだか俗っぽくてうっとうしく思えてくるから不思議。
ちょっと危ない領域に足を踏み入れてしまったかも。

演奏は、現代音楽のピアニストとして、第一人者である高橋悠治
2台のピアノのための作品には、若き日の坂本龍一が参加しています。

(03.4.19.記)

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