恐るべきさぬきうどん/麺地創造の巻・麺地巡礼の巻
(新潮OH!文庫)
8年ほど香川県民をやってるものとして、この本を紹介しないわけにはいきません。
香川の食べ物といえば、さぬきうどんです(ほかにないんですわ)。
香川県民は平均して週に4玉ほどのうどんを食べているといわれてます(私は8玉は食べてますが)。
で、この本は要するにさぬきうどん名店ガイドなんです。
なんでそんな超ローカルな本が新潮社から文庫で出たのかというと、
めちゃめちゃ笑えるからです。
だいたい香川のうどんの名店というものには妙な法則がありまして、
うまい店ほどへんぴなところにあり、店構えは怪しい、商売気がない、おまけに安いんです。
そういう店はときに製麺所をかねていて、一杯150円だと高いくらいで、
なのにこれがシコシコのツルツルでめちゃめちゃうまいんですわ。
そういう地元の人しか知らないような怪しい店の数々に、
道なき道(比喩じゃありません)をかきわけてたどりつき、直撃リポートした本です。
わたし別に四国とか香川県とか一生行くことないし〜、というそこのあなた、
べつに行かんでいいです。
まだ見ぬ異国の旅行記、あるいは秘境の探検記だと思って読んでください。
たとえば村上春樹氏のエッセイ「秘境・辺境」にも取り上げられた名店「中村」、
ねぎ畑の真ん中にぽつんとあるこの店は、客がねぎを自分で畑から抜いてきて、洗って、
自分で刻んでうどんにかけて食べるというすごい店です。もちろんうまい。一杯100円。
もう一軒、これは本から直接引用します。
<阿讃山脈のふもとにあるこの店を発見できたのは、全く奇跡的であった。
なにしろここは、「うどん」の看板はおろか、のれんさえ出ていない。
唯一店の壁に張り付いている看板が「米」の一文字。
そして店の名前が「谷川米穀店」なのである。
「そりゃ米屋じゃ〜!」>
米屋なのになぜかうどんを出す「谷川米穀店」、そこのうどんがまた
恐ろしいくらいうまいんです〜。 なぜじゃ〜!ここも一杯100円。
不思議に思ったかたは、どうぞ読んでみてね。
(01.11.13.記)
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