コーマック・マッカーシー/ザ・ロード
(黒原敏行・訳 早川書房 2008年)



Amazon.co.jp : ザ・ロード

<ストーリー>
人類も動物もほとんど死に絶えてしまった世界。
常に厚い雲がたれこめ、冷たい灰が降り注ぐ毎日。
厳しい寒さから逃れるため、南へ旅をする父と息子。
スーパーのカートに全財産を積み、灰色の世界をひたすらに歩く。


今日は東京へ出張でした。
明日も仕事なので、日帰り出張の強行軍。
新幹線で東京駅に着いて、地下のコンコースを歩いて目的地の国際フォーラムへ。
用事が済めばまた地下を歩いて新幹線に乗って帰りました。
久しぶりの東京なのに、結局お天道様すら拝みませんでした(まあ、拝んでも暑いですけど)
なんだか悲しいなあ・・・何しに東京まで行ったんだろ、ボク(仕事じゃ!)。

それにしても、普段田舎に住んでいると、東京の人の多さには毎回驚きます。
だからというわけですが、今日は人がちょっとしか出てこない小説を。
全米で170万部を売った大ベストセラーだそうです。


 コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」


そもそもなぜ人類が(動物も)滅びたのかは、ほとんど説明されません。
最初は核戦争後の「核の冬」かと思ったのですが、放射線障害に関する記述がまったくないところを見ると、巨大隕石落下なのかも。

でも、それはおそらくどうでも良いこと・・・と言っては語弊がありますが、
作者が書きたかったのは、人類の滅亡ではなくて、父と息子の情愛でしょう。

住宅や店舗にわずかに残った食料を奪い合う人間たち。
それどころか、他人を殺してその肉を食らう者たちも。
なのでふたりは、他の人間たちから逃げ隠れながら旅をします。
父は拳銃を片時も離しませんが、それは他人を傷つけるためというよりは、人食いどもの手に落ちたとき、ひとおもいに息子を死なせてやるため。

句読点の少ない、独特なリズムを持つ、詩のような文章。
父と息子は名前がなく、父が以前はどのような生活をしていたのかもほとんど語られません。
ある種の寓話として読むべきかもしれません。

どうしても思い浮かぶのは、解説にも書かれていますが「子連れ狼」
あと「マッドマックス2」「北斗の拳」も連想します。

救いのない物語ですが、お互いを思いやる父子の心情は美しいです。
親子というのは、こうあるべきですね。

読んだ後、娘たちに「お父さんは何があってもお前たちを守るぞ!」と言ったら、思いっきり引かれてしまったりしましたが、わたしはげんきです。


アラン・ワイズマン「人類が消えた世界」(早川書房)と一緒に読むと、さらに考えさせられます。
こちらは、人類だけが突然滅亡したら地球はどうなるのかを、学問的にきっちりシミュレーションした本。
動物も植物も、人類がいないほうが全般的に幸せそうですね、やっぱり。

意外というか、驚いたのが現在世界中で稼動している441基の原子力発電所の行く末。
管理する人間が突然いなくなれば、施設はつぎつぎにオーバーヒートし、炉心が溶融、
膨大な量の放射性物質が長期間にわたって広範囲に放出され続けるそうです。
こ、怖いなあ・・・って、われわれはすでに滅亡しているわけですが、そういう問題じゃないような気も。

人類は、存在しても滅亡しても地球に迷惑をかけてしまうのですね。
動物や植物には申しわけありませんが、うっかり滅亡しないように気をつけなくてはいけないなあ人類、と思ったことであります。
でもどうすればいいのでしょう?

(07.7.25.)


Amzon.co.jp : 人類が消えた世界


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