エラリー・クイーン/インド象の謎
(Ellery Queen / The Indian Elephant Mystery)
(米・Tellalie社・洋書)



注:このページは2005年4月1日のエイプリル・フール用の記事です


ミステリ黄金期の巨匠、エラリー・クイーンの未発表長編が、60年以上の時を経て発見され、
アメリカの出版社・Tellalie 社から、このほど補筆出版されました。
タイトルは「The Indian Elephant Mystery」(インド象の謎)、
執筆時期は1930年代後半、クイーンが最も脂の乗っていた時期であり、
そもそも「国名シリーズ」のひとつとして刊行される予定だった作品です。

ニューヨークの高層ビル内の密室で、株式仲買人の死体が発見されます。
死因は頭部を何かで圧迫されたことによる頭蓋骨骨折で、何故か部屋の床には動物の体毛が散乱していました。
クイーン親子が驚いたことに、なんとそれはインド象の体毛だったのです!
被害者は密室でインド象に踏み潰されたのでしょうか!?

・・・という、とても面白そうな設定なのですが、やはり無理が・・・。
マンフレッド・リーが書いたシノプシスを、フレデリック・ダネイが3分の2程度まで小説化したものの、
あまりの荒唐無稽(いわゆるバカミス)ぶりに、出版社が二の足を踏み、
とうとう未完のままお蔵入りしてしまったのです。

インドの蛇使いやら、「シントー」を自在に操る日本の行者、過激な動物愛護団体など、
わけのわからない登場人物が多数登場し、カー顔負けのドタバタぶり。
H・M卿なら大喜びするところですが、そこはちょっとヒヨワなエラリー君、
「ぼくにはこのような非論理的な事件は向いていないようですね」と、自宅に引きこもってしまいます。

しかし、父親のクイーン警視や従者のジュナからもたらされる情報を聞くことで、
かえって事件を客観的に見られるようになったエラリー、ついに解決に至るという、安楽椅子探偵的な趣向も。
犯人逮捕に向かったクイーン親子一行が、インド象の群れに追われて逃げ惑う場面は
30年代とは思えないほどのスラップスティックさで、著者の意外とお茶目な面が発揮されています。

なお、今回の補筆に携わったのは、アメリカのミステリ研究家April Barker 女史
「私が補筆したことで、クイーン黄金期の傑作群に新たな金字塔が加えられた」と、自信満々です。
(05.4.1.記)


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なお、版元の Tellalie 社は、間にハイフンをはさんで「Tell-a-lie」と表記するのが正しいという未確認情報があります。