庄野潤三/プールサイド小景・静物
(新潮文庫 1965年)



Amazon.co.jp : プールサイド小景・静物 (新潮文庫)


巷では新型インフルエンザが猛威をふるっています。
去る11月12日(木)、我が家の長女(中3)が学校から帰ってくるなり、ニョウボに「体がだるい、寒気がする、熱っぽい」と訴えたそうです。

元気で丈夫なのがとりえ、「ブルドーザー娘」 「象が踏んでもこわれない」とまで言われるこの子がっ!!

熱を測ってみると37.7度。

ひょっとすると新型インフルかも・・・と、夜間に病院に連れてゆきました。
病院で測ると熱は38.0度に上がっており、簡易検査でインフルエンザA型がくっきり陽性!!

 「まあ十中八九、新型でしょうね」

と内科の先生に言われ、10代の若者にタミフルは危険なのでと、リレンザを処方されました。

いやあ〜、我が家にもとうとう来てしまいまいたよ新型インフルエンザ
私とニョウボは一応予防投与ということで、タミフルを一日一錠内服(発病者は2錠のみます)。
下の娘(中1)は「気力でかからないようにする!」と宣言しました。(なんじゃそりゃ)

オジイチャン、オバアチャンも近くにはいないので、ここは家族一丸で乗り切らねば・・・
とはいえ私は仕事があるし、下の娘は学校があるので、結局ニョウボほぼひとりで看病頑張ってくれました。
感謝です。 お疲れさまでした。



「家族」といえば連想するのが、今年亡くなった庄野潤三の小説。
晩年は、「これブログじゃね!?」と言いたくなるような「日記そのもの」な作品を連発、それはそれで味わいがありましたが、
初期の短編を収めた「プールサイド小景・静物」は小説としての仕掛けが随所で見事に決まっています。
平凡な人々の、ささやかな生活の脆さを、客観的でひんやりとした筆致で描く作品群。
芥川賞受賞作である「プールサイド小景」(昭和29年)は、日常生活に突然ぽっかりあいた深淵をのぞきこむ怖さが満喫できます。
並みのホラー小説より怖いと思うのは私が怖がりだからかもしれませんが・・・。


「静物」(昭和35年)は、村上春樹も絶賛の名作。

 「文学史の中にきらりと残る作品です。僕はそう思う。そして庄野潤三の作品をどれかひとつ取り上げるとしたら、
  なんのかんの言ってもやっぱりこの作品しかないと思います。」 (村上春樹「若い読者のための短編小説案内」より)

夫婦に子供三人、平凡な一家の生活が18の短いエピソード点描風に描かれます。
「普通に仲良く暮らしてるなー」と思いながら読んでいると、あちこちで小さなひっかかりが。
「あれ?」「なんだこれ?」と思って読み返すと、この一家にかつて起ったある事件がおぼろげに浮かび上がってきます。

並みのミステリ小説よりサスペンスフルだと思うのは私が単純だからかもしれませんが・・・、
とにかく小説技巧の粋を尽くした名編だと思います。



さてひるがえって我が家の新型インフルエンザ、幸いにもほかの家族に伝染ることもなく、11月15日(日)にはすっかり平熱に。
下の娘も発症しませんでした。 気力の勝利か。
上の娘は念のため16日の月曜日は休ませて、17日(火)から行かせますと学校に連絡を。

 す、すると・・・・・・・。

なんと、「三年生は17日から3日間、学年閉鎖が決定しました!」と言われました。
なんでも220人中60人以上が欠席してしまったそうです。

「ま、まだこの子が3日もウチでグダグダするわけえ〜〜〜!!」
とどろくニョウボの悲鳴、機嫌はもう最悪!!

並みのパニック映画より怖いと思うのは私が繊細な神経の持ち主だからでしょう、きっと。

(09.11.19.)


P.S. 今日で学級閉鎖も終わり、明日からやっと学校に行ってくれます。

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