スメタナ&ショパン/ピアノ三重奏曲(演奏:トリオ・フォントネ)
(ワーナー WPCS 11473
国内盤)


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ワーナーの1000円盤シリーズ、"Apex Collection" からの1枚です(発売は02年12月)。

ピアノ三重奏曲というのは、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏で演奏される音楽で、
ピアノ3台で演奏するのではありません (それ、にぎやかで面白いかもしれませんね ← やかましいだけだって)。
クラシック音楽の中でも比較的地味なジャンルですが、このCDには、そのなかでもめったに演奏されることのない、
特に地味な2曲
がわざわざ収録されています。ご苦労なことです。

しかし、これが、とてもとても美しいのです。

スメタナ(1824〜1884)は、交響詩「モルダウ」で有名なチェコの作曲家。
ピアノ三重奏曲ト短調 作品15は、作曲者31歳の作品で、わずか4歳で亡くなった長女を追悼した曲です。
冒頭、ヴァイオリンが低音で奏でる、慟哭するような主題が支配する悲劇的な第一楽章

 

在りし日の娘を回想する、軽妙でかわいらしい第二楽章

 

そして、娘を失っても強く生きてゆこうとする作曲者の意思を表すような力強い第三楽章。

 

・・・という解釈は、私が勝手に想像したものなので、あてにはなりませんが、
美しくも激しいダイナミックな音楽であり、ロマン派のピアノ三重奏曲の中でも屈指の傑作ではないでしょうか。


ショパン(1810〜1849)は、「ピアノの詩人」として有名で、作品のほとんどはピアノ独奏曲です。
でもわずかながら室内楽曲も残していて、このピアノ三重奏曲ト短調 作品8は、19歳の作品。
若いとはいえ、翌年には傑作「ピアノ協奏曲第2番」を完成させる天才ショパンのこと、
未熟さをみじんも感じさせない、完成度の高い曲に仕上がっています。
と言っても、いかにも青年っぽい、センチメンタルな軟弱系音楽ではありますが、
疲れた心にはこの甘い哀愁味が、妙に心地よかったりするのです(疲れてるの?)。

 

演奏は素直でなめらか、録音も優秀です。
じっくり聴き込んでも良いし、軽く聞き流しても心地良いです。
1000円なら絶対お買い得だと思います〜。

(03.3.30.記)

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