アラン・ペッテション/交響曲第7番
(ゲルト・アルブレヒト指揮 ハンブルク州立フィルハーモニー)




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Tower@jp : Pettersson: Symphony no 7


今年2011年にアニヴァーサリー・イヤーを迎える作曲家といえば、
普通は生誕200年のフランツ・リストと、没後100年のグスタフ・マーラーですが、
私にとって筆頭はむしろこの人。
20世紀スウェーデン最大の交響曲作家、アラン・ペッテション(1911〜1980)。

 堂々の生誕100年でありますっ!

彼の交響曲は第16番まで、ただし第1番は破棄されたので全15曲。
作品の特徴は長大な単一楽章、無形式
全曲を貫く精神は、苦悶・煩悶・懊悩・憤怒・絶望・悲痛・慟哭・怨念・・・(ひええ〜)。

手法は前衛的ではなく、メロディアスですらあるのですが、渦巻く暗黒パワーにもう圧倒。
奈落の底をはいずるような音の無間地獄を引きずり回されます。
しかしときたま天上からかすかな光が差すような美しい瞬間も・・・・・ これがたまりません。

 「なんでまた、そんなにも暗い曲ばかり作るんだろう?」

と、思われた方は「アラン・ペッテション」で検索してみましょう!

 ・・・・・う、うわあ・・・・・!

非常に悲惨な境遇であり、人生であります。

ただ、彼の交響曲を聴いて思うのは、自己憐憫が感じられないこと。
苦痛と絶望を、芸術作品として見事に浄化・昇華しています。
激しく暗いですが、暗黒な響きの底には不屈の闘志が宿っているように思えるのです。

 「どこまでも戦うぞ! たとえ敗れるとしても最後まで戦い抜くぞ!!」

という雄叫びが聞こえるようです。

そいでもって聴いてるうちに、「ぼ、ぼくも頑張るよ!」という気分になったりする能天気野郎の私がここにおります。

とにかく尋常でないパワーとオリジナリティーを持った作品ぞろい。
これを天才と言わずしてなんと言う!


じつは私、この人の交響曲全集を数年前に衝動買いしたものの、ほとんど聴いていなかったのです。
でも生誕100年だし、買ったCDは聴かないと勿体ないし(←貧乏性)と思って聴き始めたら、
意外にもはまってしまいました(←全然意外じゃないという声多数)

深刻さヘビー級ぞろいのぺッテションの交響曲の中では、第7番(1968)は比較的親しみやすく、
演奏時間も45分くらいと手ごろ(?)で、最初に聴くには良い曲なのだそうです。
たしかに抒情的な部分も多くて聴きやすく、せいぜい2辛〜3辛程度ですね。
初演は大成功で、ぺッテションの名を一躍高めた出世作だそう。

 ペッテション:交響曲第7番より
 

まずはこの曲で足場を固めてから、さらなる暗黒交響曲の荒野へと歩を進めていくことにいたしましょう。

それでは、行ってまいります!

(11.7.8.)



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