シェドヴィル(ヴィヴァルディ)/フルート・ソナタ集「忠実な羊飼い」
(ジャン=ピエール・ランパル:フルート ロベール・ヴェイロン=ラクロワ:チェンバロ 1968)



Amazon : 忠実なる羊飼い/ヴィヴァルディ=フルート・ソナタ集 作品13


昔、NHK-FMで朝の6時台に「バロック音楽の楽しみ」という番組がありました(1963〜85)。
2021年現在は「古楽の楽しみ」という番組になっています。
バロック以前の中世・ルネサンス音楽も取りあげるのでタイトル変えたんでしょうか。

「バロック音楽の楽しみ」のテーマ曲は、「忠実な羊飼い 第2番・第1楽章」でした。

 

「忠実な羊飼い」というよりは、「サボって昼寝している羊飼い」と呼びたいのどかな曲で、朝から気持ちをダラ〜ンとさせてくれたものです。

忠実な羊飼いは、全6曲からなるソナタ集で、1737年にパリでヴィヴァルディの作品13として出版されました。
「ミュゼット、ヴィエール、フルート、オーボエ、またはヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」とされていて、要するにどんな楽器を使ってもいいよというユルユルな指定。
そのほうがいろんな楽器奏者が買ってくれますからね。
なんなら尺八でも演奏できるんじゃ・・・(音域が足りない? でも意外といいかも)。
なおミュゼットとは、フランスの民族楽器で、バグパイプのような袋のついた管楽器です(袋のないタイプもあり、それはオーボエに似ています)。

ところで実はこの曲、パリ・オペラ座のミュゼット奏者だった、ニコラ・シェドヴィル(1705〜1782)という人が、ヴィヴァルディの名をかたって出版したものでした。
当時パリではヴィヴァルディの「四季」が人気で、ヴィヴァルディの曲ってことにしとけばよく売れるだろうという読みがバッチリ当たって大ヒット曲になりました。
まあ曲自体が良かったってのが一番大きいですが。

 ソナタ第1番 第1楽章
 

以来ずっとヴィヴァルディの作品とされてきましたが、20世紀の研究で事情が徐々に明らかになり、1990年ごろにシェドヴィルの作品と断定されました。
真実が明らかになったのは良いのですが、それまでわりとさかんに演奏されていた「忠実な羊飼い」は、
ケチがついたというか、すっかり鬼子扱い、演奏会やCDで取り上げられることも少なくなりました。
いまだに1960年代に録音されたランパル&ラクロワ盤が最高の名演と言われ、2021年現在これも廃盤でなかなか再発されません。
いい曲なんですけどねえ・・・。

 ソナタ第6番 第4楽章 (ヴィヴァルディの作品4−6の編曲。かなり高度な技巧が要求されます)
 

ところでシェドヴィルは、「忠実な羊飼い」の2年後(1739)にヴィヴァルディの「四季」を、自分の楽器ミュゼットを含むアンサンブルに編曲したものも出版しています。
これがとにかくうるさいです。バグパイプみたいな音がブーブー鳴ります(ハーディ・ガーディという楽器らしい)。
さらに勝手なアレンジというかあちこちで大胆に音符が変わってます。
思わず笑ってしまいますが、話のネタに一度は聴いておいて損はありません。

 「秋」 第3楽章 (パラディアン・アンサンブルによる録音。ミュゼットの代わりにリコーダーを使用してます)
 

 

(2021.09.12.)

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