巴里の誘惑〜20世紀フランスのフルート音楽
エマニュエル・パユ(フルート) エリック・ル・サージュ(ピアノ)
(1997録音)
Amzon.co.jp : 巴里の誘惑
<曲目>
プーランク/ソナタ
デュティユー/ソナチネ
サンカン/ソナチネ
イベール/戯れ(ソナチネ)
ミヨー/ソナチネ
イベール/アリア
メシアン/黒つぐみ
ジョリヴェ/リノスの歌
フルートの若き巨匠、エマニュエル・パユの名盤。
以前から愛聴しているアルバムですが、安くなって(1500円)再発売されるようです。
とにかく綺麗。
イキでアンニュイでエスプリでロマンティックでノーブルで、なに言ってるのか自分でもよくわかりませんが、
とにかく聴けば良い香りが部屋にたちこめるような上品な曲ばかり。
思わず執事に「セバスチャン、冷えた白ワインとキャビアを持ってきてくれたまえ」と命じたくなります。
たとえセバスチャンがいなくても、ワインとキャビアがなくてビールとピーナツでも、よいものはよいのです。
それにしてもフルートの音、涼しげで夏にぴったりですね。
アルバム全体のまとまりも見事。
言うてしまえば、どの曲も同じように聴こえるのですが(わ、言うてしもうた)、どこをとっても「20世紀フランス」、統一感ありまくりで安心。
曲が変わったことにも気付かないほどです(←オイオイ)。
それでも順番に聴いてゆきますと、
メランコリックなプーランク「ソナタ」。 とくに第2楽章は絶美。
プーランク:フルート・ソナタ 第2楽章
ミステリアスで呪術的なデュティユー「ソナチネ」。
デュティユー/ソナチネ 第1楽章
もしラヴェルがフルート・ソナタを書いていたらこんなだったかもしれない、古典的で端正なサンカン「ソナチネ」。
サンカン/ソナチネ 第1楽章 (まるっきりラヴェル!)
急ー緩の2楽章で終わってしまってあれ?って感じのイベール「ソナチネ」。
エネルギッシュで元気なミヨー「ソナチネ」。
シンプルで優しいメロディが心地よいイベール「アリア」。
前衛的で刺激的な小品メシアン「黒つぐみ」。ところで黒つぐみってなんて鳴くのでしょう?
そして最後のジョリヴェ「リノスの歌」、これは名曲です!
古代ギリシャの挽歌のイメージで、「死の嘆き、叫びと舞いによって随時中断される哀歌」だとか。
劇的で緊迫した超絶技巧の難曲、フルートはあるときは歌うようにあるときは叫ぶようにまた泣くように。
台詞のない悲劇を観て(聴いて)いるような印象を受けるのであります。
(07.7.25.)