福島聡/星屑ニーナ(全4巻)
(エンターブレイン 2010〜2014)

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<ストーリー>
星屑(ほしくず)は、乾電池で動く旧式ロボット。ニーナは冒険好きな女子高生。
星屑はゴミ捨て場でニーナに拾われ、ふたりは一緒に暮らすことに。
宇宙雷魚の襲来、会話するサルの玩具、縁日でプレゼントされた安物の指輪、3億円の宝くじ、そして過ぎ行く時間。
1年後、5年後、10年後。人間は老いるが、ロボットは歳を取らない。
物語は、神の速度で未来へと進んでいく。




次女(高3)は、受験勉強追い込み中。
数学の塾に行ってますが、今日夕食を食べながら言うことには、
塾の先生は難しい問題はパパッと解いちゃうけど、簡単な計算が苦手なんだそうです。
こないだなんか、「17−9」「5・・・だっけ?」とか言ったらしく、それを聞いた私、

 「おお、まるでクンマーの逸話だ!」

思わず叫びました。
数論の権威だったクンマーという数学者は、簡単な算数がなぜか苦手でした。
クンマーが高校教師だった頃、黒板を前に7×9を計算していたのですが、

 「あー、7×9は・・・えー、うー、うー・・・」
 「61です」学生のひとりが助け船を出すと、
 「結構」といってクンマーは黒板に61と書きました。
 「ちがいます。69です」ともう一人の学生が答えました。
 「おやおや諸君、両方はありえないよ。どちらかひとつのはずだ」とクンマー。
 「ふーむ。 答は61ではありえない、なぜなら61は素数だからな。 65でもありえない、65は5の倍数だからだ。 67は素数だ。 69は大きすぎる。 すると,残るのは63だ」

正解! ・・・って、どういう考え方してるんですか?
偉大な数学者もロボットではなく人間なんだなと思わせてくれるエピソードです。

さて、ロボットといえば、最近読んだこの漫画。

 福島聡/星屑ニーナ(全4巻)

 大傑作でした。

 (第1巻 62ページ)

ゴミ捨て場で女子高生・ニーナに拾われた旧式ロボット「星屑」(乾電池で動く!)の物語。
「ピノキオ」を下敷きにしたSFですが、いわゆる「ドラえもん」パターンではありません。
人間は老いるが、ロボットは年をとらない。
なんと第1巻の後半で、ニーナ天寿を全うして亡くなってしまいます。
「え? え? これからどうなるの?」と思ってると、やがて物語は宇宙に飛び出し、千年の時を軽々と超え・・・・・・。
自由奔放・縦横無尽・百花繚乱・大胆不敵なストーリー。
時空を駆け巡り、紙面狭しと飛び回る魅力的なキャラクターたちに酔わされました。

 (第4巻 216ページ)

まー第1巻もたいがいぶっ飛んだ展開なんですが、
2巻・3巻と進むにつれ、想像しなかったほどスケールの大きな話になってゆきます。
どこへ進んでゆくのか、全く予想つきません!
「これほどの大風呂敷、いったいどうやって畳むんだろ?」
と思っちゃいますが心配ご無用、よくできた数学の問題のように数々の伏線を回収、見事な結末が待っています。
一見ハチャメチャな展開も、すべて計算のうちだったのか・・・・・・凄すぎる

ひとことで言えば「とても綺麗な作品」でした。

 (第2巻189ページ)

小説・ノンフィクション・コミック問わず、最近読んだ本の中で指折りの面白さ。
というかこれまでに読んだ漫画の中でベストスリーに入ります、いやひょっとしてベストワンかも。
重層的でぶっ飛んだストーリーもカッコよくて深いですが、映画的でダイナミックな画も素晴らしいうえ、ニーナを筆頭に、美女がたくさん出てくるんだからもうサイコーです!(←オッサンはこれだから)

 (第4巻 64ページ)

(2015.02.01.)



星屑 「ヒトは何故眠るのですか?」
ニーナ 「夢のつづきをみるためよ」

(第2巻 52ページ)



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