初期ナポリのチェロ曲集
(マッテオ・マラゴーリ:チェロ ほか 2021録音)



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角ハイボールとおにせんクラッシュの次くらいにバロック音楽が好物の私です(←どういう順番だ)。
バロック音楽といえば、ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルなどのビッグ・ネームが活躍する後期バロックも良いですが、
むしろまだ形式が定まっていない前期バロック音楽こそプリミティブで自由なファンタジーの飛翔というか「なんでもあり」な感じがいみじうあわれにおかしけれ。

あといちおうチェロもいじっているもので、このCD見かけたときは「私が買わんで誰が買う!」と勇んで「ポチっとな」したもんです。

 初期ナポリのチェロ曲集

なお妻には「似たようなCDばっかりよく買うね〜」と感心されます(←多分感心はしてない)。

さてCDが届いてプレイヤーにかけたところ、いきなり流れてきたのがこれ。

 

ずっこけました。
グレゴリオ聖歌じゃないですか!
間違って違うディスクが入っていたんじゃないかと取り出して確かめましたが合ってます。
なお2曲目はちゃんとチェロの曲でした。

 

解説を読むと、これはロッコ・グレコ(1650?〜1718?)の「チェロと通奏低音のためのDiminutions(ディミニューションズ?)」という曲。
17世紀から18世紀にかけて、ナポリの教会や修道会は音楽家や歌手を雇い、典礼用のスタイリッシュで豪華な音楽を競い合っていたんだとか。
生演奏で客を呼ぶバーみたいですね。

「チェロと通奏低音のためのDiminutions」はオルガンで演奏される声楽モテットの低音部にチェロの声部を加えた作品だそうで、
この録音ではモテットの基となったグレゴリオ聖歌を唱和したものが各「ディミニューション」の前に置かれています。
グレゴリオ聖歌の部分は美しく透明感にあふれ、チェロの曲は親しみやすく落ち着いた風情。

 Dom Esset Rex(グレゴリオ聖歌)
 

 Dom Esset Rex(ディミニューション)
 

チェロの奏法もまだそれほど進歩していなかった時代で、低音域で単純な音型を反復するだけの曲が多いです。
しかしそれがいい!
ミニマル・ミュージックや環境音楽に通じるものがあるような気さえします。
メロディがどうこうではなく、ふわりとした響きの交錯にほのかな抒情が透けて見え、現世の重さを忘れそうです。
近所の教会でこんな音楽やってたらキリスト教徒じゃなくても通い詰めてしまいそう。

もう1曲、ガエターノ・フランコーネ(1650?〜1717)の「チェロと通奏低音のためのパッサカリア」が収録されています。
宗教的な雰囲気はなく、普通のチェロとチェンバロの二重奏曲です。
10曲からなりますが、1曲は1分半くらいの短さ。
グレコの曲よりも音域が広くやや技巧的ですが、ストレートでヴィヴィッドな音の動きを単純に楽しめる作品。
ポップなノリで親しみやすいです。

 パッサカリア 第3番 ロ短調 (一抹の哀愁が美しい)
 

 パッサカリア 第10番 ヘ長調 (にぎやかな感じの終曲)
 

前期バロック音楽には、知られていない名曲がまだたくさんあるなあ・・・。
今後もいろいろ買ってしまいそうで怖いですが(とくにニョウボの目が)、病膏肓に入るってやつですからどうしようもないですね。
それにしてもCDの置き場がない・・・。

(2021.09.20.)

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