畑野智美/南部芸能事務所シリーズ(全5冊)
(講談社 2013〜17)
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大学2年生の新城は、友人橋本に誘われて見た「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、その日のうちにお笑い芸人を志す。
橋本の知り合いの女芸人津田あおいに相談すると、相方として同じ大学に通う溝口を推薦される。
今は亡き売れない芸人を父に持つ溝口は渋るが、新城は強引に頼み込みコンビ結成に至る。
弱小お笑いプロダクションを巡る人々の悲喜こもごもを様々な視点から描く連作短編シリーズ。
最近この本を5冊まとめて読んだんやけどな。
なんやねんこれ、マンガと違うの?
れっきとした小説やで。
畑野智美/南部芸能事務所シリーズ、弱小芸能プロダクションに所属するお笑い芸人たちを描いた連作短編や。
ということは、漫才やコントやってる連中のことを書いてるわけやな。
そういうことや。
なるほどなあー、漫才とかやってる連中って、どんなこと考えてるんやろなあと思ってたんや。。
おいおい、ちょっと待てや。
なんや。
ワシらいま、何してると思うてるんや。
なにって・・・?
いやこれいちおう漫才のつもりなんやけど。
えー! ないない、それはない、このレベルで漫才はない、まだひとつのボケもかましてないのに。
それもそうかいな。
この本読んだら、ちょっとは漫才の参考になるやろか。
それがなあ、小説の中には実際に漫才やコントやっとるシーンはほとんどないんや。
だから具体的にどんなネタでどんなお笑いやってるのかは読者の想像にまかされとる。
丸投げかい! なら、小説ではなに書いとるねん。
芸人の普段の生活やな。
売れない苦労、売れる苦労、相方とのいさかい、恋愛事情、結婚問題、家族養えるかどうか、売れっ子が落ち目になってゆく辛さなど、みっちり書かれていて面白い。
それでいて深刻にはならず、ラノベ感覚で軽く読めるで。
それは文庫本の表紙見たらわかるわ。
1話ごとに語り手が変わり、同じ出来事が別の人間から見たらまた違って見える。
小説ではよくあるパターンやけど、やっぱり面白いな。
読んでいくうちに感情移入するし、みんな徐々に成長していくから、ついつい応援してしまうわ。
若手ばっかりやなくて、内海桂子師匠みたいなベテラン女芸人や、オカマのプロダクション社長も登場、強烈な存在感を放っとるで。
連作短編やけど、全5冊でひとつの長編小説と言うてもええな。
人を笑わせる商売やけど苦労多いんやろなあ、ネタ考えるのとか、しんどそうやもんな。
そうそう、テレビ局にこもって徹夜でネタ書くやつも出てくる。
「徹夜」で「寝た」書いてるのか、おもろいなー。
・・・20点やな、まあ徹夜はさすがに健康に悪いな。
健康は大事やからなー。 ところでキミ最近、健康のためにひったくり以外になんかやってる?
ひったくりやってる前提かい! 犯罪者やないかそれ。 そんなことしてません。
じゃあ、なにやってるの?
のぞき。
やっぱり犯罪者やないかーい!
(中田カウスボタンさんのギャグを拝借しました)
(2019.08.31.)