ミズリヴェチェク/ヴァイオリン協奏曲全集(2枚組)
(石川静・独奏 リボル・ペシェク指揮 ドヴォルザーク室内管弦楽団 1983〜85録音)
Tower : ミズリヴェチェク/ヴァイオリン協奏曲全集
石川静のヴァイオリン独奏によるミズリヴェチェック/ヴァイオリン協奏曲全集が再発!
1980年代に、バラ売りCDを1枚3800円で買った懐かしい演奏です!
CDって黎明期には高かったですよね〜。
8曲入りの全集です、半分持ってるけど迷わず購入しました。
8曲すべて長調、伸びやかで素直な協奏曲です。
なんだか人懐こい感じで、明るい気持ちにしてくれます。
20年ぶりくらいに聴いたのですが、当時CDがすり切れて煙が出るほど聴いたので細かいところまでよく覚えていました。
昔のことって不思議に忘れないものです。
ところで一昨日の夕食は何だったかな・・・えーと、忘れたぞ。
ヨゼフ・ミズリヴェチェク(1737〜81)はチェコ出身、主にイタリアで活躍、オペラで大人気を博しました。
モーツァルトとは親しく、モーツァルトは手紙でしばしばミズリヴェチェックを賞賛しているそうです。
それどころかモーツァルトはミズリヴェチェクから多大な影響を受けていて、
現在、モーツァルト特有と考えられる数々の音楽語法は、そのほとんどがミスリヴィチェクの発案によるものだそうです。
ミズリヴェチェクを聴いて「モーツァルトに似てる」と思うのは、じつは逆なんですね。
協奏曲 ハ長調 第1楽章 アレグロ・コン・スピリト (モーツァルトに似ていますがミズリヴェチェックのほうが先輩)
協奏曲 イ長調 第2楽章 アダージョ (なんというみずみずしい歌! ミズリヴェチェクだけに・・・山田くん座布団全部持っていきなさい)
どの曲にもヒラメキに満ちたフレーズがちりばめられ、美麗なメロディの波状攻撃にタジタジ、さすがはオペラの巨匠。
シンプルな中にも生き生きとした抒情が息づく、意外と奥深い作品群です。
石川静のヴァイオリンは古典的な作品に似合った、折り目正しい解釈と格調高い美音。
整った美しさに判断放棄、ただ陶然とするのみであります。
協奏曲 ヘ長調 第3楽章 アレグロ (活発な中にも優美さが漂うアレグロ)
ミズリヴェチェクは1770年代に梅毒を患い、医者の不適切な処置もあって鼻がただれ落ちてしまったそうです。
見舞いに訪れたモーツァルトは彼の顔を見て夜も眠れないほどのショックを受けたそうです。
また感染を恐れて彼の部屋に入れず、庭に出てきてもらって話をしたとも。
少々グロい話ではありますが、音楽は明朗で美しいです。
協奏曲 ニ長調 第2楽章 アダージョ グラーヴェ (ヴァイオリンがオペラのアリアのように麗しく歌います)
石川静(1954〜)は東京都出身、16歳でプラハに留学しプラハ音楽芸術アカデミーで学び、1972年ヴェニャフスキ国際ヴァイオリン・コンク−ルで2位入賞。
1976年、エリザベート国際コンクール5位、1979年第1回フリッツ・クライスラー国際コンクール3位など錚々たる経歴。
現在もプラハ在住で、チェコ出身のミズリヴェチェクとは縁があります。
(2022.07.30.)