マルセル・メイエ/スタジオ録音集成(1925〜57)
(17枚組)



Amazon.co.jp : Marcelle Meyer: Complete Studio Recordings, 1925 - 1957

Tower@jp : Marcelle Meyer Complete Studio Recordings 1925〜1957


端正かつエレガント


フランスのピアニスト、マルセル・メイエ(Marcelle Meyer, 1897〜1958)。
パリ音楽院でマルグリット・ロンアルフレッド・コルトー に師事、1913年に一等賞を獲得して卒業。
エリック・サティジャン・コクトーと親交を結び、フランス若手作曲家グループ「6人組」の作品を積極的に紹介、「6人組の女神」と呼ばれました。

日本ではほとんどレコードが発売されず、来日もしなかったので、あまり知られていません。
私も最近まで知りませんでした。
これはメイエが残したスタジオ録音の全てをCD17枚にまとめたセット。
安さにつられて買いましたが・・・

 なんというデリケートでセンスの良いピアノ!

玉を転がすような音で軽やかに紡がれるフレーズからは、まぎれもないフランスの香りがします。
フランスに行ったこともかじったこともない私が言っても説得力ありませんが、とにかく徹頭徹尾「フランスぽい」感じが漂ってくるのですよ。

バッハスカルラッティもこの人が弾くと、ロココでアンニュイで、エスプリがシルヴプレしてます!
ボンジュールです! セ・ラ・ヴィです!! ジュテームです!!! ・・・・えーと、とにかく素敵です! (←知ってるフランス語が尽きた模様)。

 スカルラッティ:ソナタ K.9
 (溢れる抒情とうたごごろ)

 スカルラッティ:ソナタ K.380
 (エレガンスの極み!)


どの曲も微笑みを浮かべながら知的かつ明晰に、それでいて優雅さを失いません。
詩情にあふれ、格調高く、これってサイコーじゃないですか?
バッハ/インヴェンション
は、グールドよりメイエのほうが好きになっちゃいました(まあグールドは耳にタコができるくらい聴いたってのもありますが)。

 バッハ : 3声のインヴェンション 第8番 
 (溌溂としたなかにも柔らかな上品さが)

ショパンとシューマンが1曲もないのはちょっと不思議ですが、すでに録音の多い曲はなるべく取り上げないというレコード会社の方針があったようです。
録音も年代を考えるとかなり良く、気持ちよく聴けます(すべてモノラル)。
使用楽器はプレイエル、やっぱフランスだわ。

 クープラン:ティク・トク・ショク
 (この洒落っ気!)

ところでフランスには、短編小説「壁抜け男」で有名なマルセル・エイメ(1902〜67)という作家(男性)もいます。
ただいま自分の中でこの二人の名前がごっちゃになってたりします。

(2015.09.12.)

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