東野圭吾/マスカレード・ホテル
(集英社 2011年)



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休日に頭空っぽにして一気読み、「面白かった!」と大満足の一冊!

東野圭吾「マスカレード・ホテル」

 都内で起きた不可解な連続殺人事件。
 現場に残された手がかりから、次の現場は高級ホテル・コルテシア東京と割り出された。
 容疑者もターゲットも不明ながら、警察はホテルに潜入捜査を開始。
 若手刑事・新田浩介はフロントスタッフに扮し、ホテル社員の山岸尚美とコンビを組む。
 しかしホテルには新田の予想を超えて次々と怪しげな客が訪れるのだった・・・。


ミステリ・サスペンスであると同時に、上質の「お仕事小説」でもあります。
「あくまでも捜査優先、ホテルの仕事は適当に」と軽く考えていた新田刑事が、
指導係のフロントスタッフ山岸尚美と衝突しながらも徐々に心を通わせ、
ホテルマンの奥深さと責任の重さに気づいてゆく過程は、一種「成長小説」の趣も。
刑事・ホテルウーマン双方が職業的矜持をかけて、事件の解決とお客様の安全のために奔走する姿に、血沸き肉踊ります(←大げさ)

塾講師のくだりは、少々出来すぎの感もありますが、でもこの部分、最高にエエ話なんですねえ。
こういうのに弱い私は我ながら素直なオッサンです。

伏線を綺麗に回収したうえ、意外な真相、緊迫のクライマックス、そして見事なエンディング、さわやかな読後感。
ストーリーテリングの魔術師・東野圭吾大先生の妙技を心ゆくまで楽しませていただきました。
直木賞を受賞してから油が乗り切っている感じですね。

ただ犯人もこんなややこしいことせずに、最初から殺したい人間をサクサク殺して回っていれば良かったんじゃ?
と思わないでもないですが、まあそれは言わぬが花(←言うとるがな)

なおこの作品、全体から「映画化オーラ」がムンムン発散されています。
おそらく近いうちに・・・。
新田浩介役と山岸尚美役は誰かなあ?
能勢刑事も重要な役どころです。

「マスカレード・ホテル」、正しくエンタテインメントの鑑のような小説でした。
ひとつ悲しいのが「東京の超高級ホテル」なるもののイメージがうまくわかない私。
東京に出張しても一泊1万円以上のホテルに泊まったことがない・・・。
いちど冷やかしに行ってみようかな(←たぶん挙動不審でフロントスタッフにマークされます)。

ところで「マスカレード」と聞くと、私は反射的にこの曲を連想しますが、若い人はご存知なかったりして?
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(2013.9.29.)

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