アンディ・ウィアー/火星の人(2014)
(小野田和子・訳 ハヤカワ文庫)



Amazon.co.jp : 火星の人 (ハヤカワ文庫SF)


人類3度目の有人火星探査ミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日で中止を余儀なくされた。
火星を離脱する寸前、嵐で折れたアンテナがマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへ姿を消した。
ところが―。
奇跡的にマークは生きていた!
不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を総動員して生き延びていく。
目指すは地球への生還!


火星のロビンソン・クルーソー


この週末はあまり用事がなかったので、もっぱら家にこもっておりました。
外に出たのは、ジムで泳いだのと、チェロのレッスンくらい(どちらも近所)。
しあわせしあわせ。

そう、私は自他ともに認める出不精であります。
家でゴロゴロしながら本読んで、音楽聴いて、DVD観て、チェロ練習して、ニョウボにウザがられるのが幸福な、安上がりな人間。
許されるなら仕事にも行きたくないくらい(←食べていけん)。

 アンディ・ウィアー/火星の人

なので、自ら志願してまで火星に飛んで行くこの本の主人公たちには、ただただご苦労様と言うしかありません。
ところが、1か月続くはずのミッションが、激しい砂嵐のため6日で中止、
全員で基地を出て、MAV(火星上昇機)に乗り込む途中で、折れたアンテナがマーク・ワトニー隊員を直撃。
マークは意識を失って倒れ、嵐の中を転げて行ってしまいます。
ほかのクルーが必死で探すも、激しい嵐に視界はゼロ、二次遭難の危険もあり、やむなくマークを残して離陸します。
やがて意識を取り戻したマーク、幸いスペーススーツは破れておらず、差し迫った大きな問題はない・・・・・・ひとり火星に取り残されたことを除いては。
ちなみに火星の平均表面温度は−63℃、大気は二酸化炭素が95%を占めます。

探査基地にはクルー6人分の食糧と水が残っており、酸素供給機も作動するので、とりあえず生存はできます。
しかしアンテナが壊れたのでどこにも連絡は不可能、自分が生きていることを知らせるすべはない。
そして次の有人火星探査は4年後の予定。
到底食料が足りません。
このままでは数か月後に、誰にも知られず飢え死にする運命・・・!?

そんな絶望的状況からの脱出を、迫真のリアリティと科学的ディテールとしょうもないジョークで描き切った作品。
とにかくいろんなこと思いつきますマーク、めちゃくちゃ賢いです。
行動力、決断力、身体能力、ジョークを思いつく能力、すべて一級品・・・・・・いや、ジョークは一流半か。

著者のアンディ・ウィアーは、これがデビュー作。
驚くべきことに一度も火星に行くことなくこの小説を書いたそうです。
最先端の天文学的知識を駆使して描かれた、荒涼として激しい火星の風景には、ただ圧倒されるのみ。

科学技術的に難解なところは少々読み飛ばしても大丈夫、
家に居ながらにして惑星探査のスリルとときめきを味わえる上質のエンターテインメントでした。

(2014.9.28.)


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