牧薩次/完全恋愛
(マガジンハウス 2008年)



Amazon.co.jp : 完全恋愛

<ストーリー>
他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。
では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?

昭和20年、14歳の少年・本庄究は疎開先で、画家の娘・小仏朋音と出会う。
のちに画壇の巨匠・柳楽糺(なぎらただす)として名をはせることになると、
彼の永遠の恋人との、それが出会いだった。
やがて戦争が終わり、美貌の朋音は進駐軍の大尉に目をつけられる・・・。



他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。
では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?

・・・それは単なる「片思い」だと思いますが。


では、他者にその存在さえ知られないサイトは完全サイトと呼ばれるべきか?

・・・単なる「人気のないHP」ですよっ! ほっといてっくださいっ!(←なぜかやさぐれている)


「牧薩次」といえば、辻真先のミステリに登場する素人探偵。
1970年代に可能キリコとコンビを組み「仮題・中学殺人事件」でデビュー、
「盗作・高校殺人事件」 「改訂・受験殺人事件」
いわゆる「青春三部作」の斬新な構成にはびっくりしたものです。
夢中で読みふけったなあ〜。(いま読むとちょっと子供だまし感も)

本書は、めでたくミステリ作家となった牧薩次の初の単行本という設定。
言うのも野暮ですが、もちろん実際には辻真先の作品。

ミステリであり、恋愛小説であり、ひとりの芸術家の一代記でもあります。
今まで読んだ辻真先の作品の中ではダントツ的にページをめくる手が止まりません!
440ページ一気読みしたおかげで、年賀状がなかなか書けなかったじゃないですか!
まあ私などが言わなくても、
すでにいくつものミステリ・ランキングを賑わせている傑作であります。

ラストのオチは、そんなことだろうと思ってましたけどね。
60年にもわたる長い物語を綺麗にまとめた、じつにすがすがしいオチ。
よくできたホラ話を巧みな語り口で聞かされたような鮮やかな読後感を、
本を閉じたあと、しばし楽しんだのでありました。

読み終えて印象に残るのは、主人公・究よりも女性たちの強さ。
・・・結局、女のほうが一枚上手、男はどこまでも馬鹿なのですねぇ・・・。

(08.12.29.)

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