イザベラ・レオナルダ/トリオ・ソナタ全集
(アンサンブル・ジョルダーノ・ディ・デリツィエ 2021録音)
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イタリア・バロック時代を代表する女性作曲家、イザベラ・レオナルダ(1620〜1704)。
こんな人がいたんですね〜。
名門貴族の家に生まれ、16歳で聖ウルスラ修道会に入会、修道女になります。
といっても失恋したわけでも世をはかなんだわけでもありません。
もともと彼女の一族は教会や政府機関に高官を輩出する家柄、聖ウルスラ修道院の熱心な後援者でもあったそうで、
それはレオナルダの修道院内での地位にも力を添えたそうです。
彼女は修道院内で、マードレ (1676)、スペリオーラ (1686)、マードレ・ヴィカーリア
(1693)、評議員 (1700)といった様々な職位を歴任しました。
これらの職位の正確な意味は不明ですが、「スペリオーラ」はおそらく修道院の中での最高の地位と思われます。
しかも若い頃から音楽の才能も発揮、1640年、20歳の時に最初の作品を出版したほどです。
なんか「やり手」というか、できるキャリアウーマンみたい。
強力な後ろ盾を持つ完全無欠のお嬢様として聖ウルスラ修道院に君臨したんでしょうな・・・(勝手な妄想)。
「トリオ・ソナタ集」は1683年に出版。
17世紀にソナタ集を出版した唯一の女性作曲家らしいです。
形式はきわめて自由で、たとえばソナタ第4番は緩急交互の13もの部分(楽章?)からなります。
泉の水のように沸き出す楽想のつるべ打ち、響きはのびやかで屈託がなく、修道女が書いた音楽だから辛気臭いかと思ったら気持ちよく裏切られます。
ソナタ第4番
ソナタ第1番は7つの部分からなります。
巧みな演奏もあって、音の表情の豊かさ、響きの愛らしさに魅了されるばかり。
コレルリの作品1のソナタ集とほぼ同時期に出版されていますが、コレルリのほうがずっと堅苦しく聴こえます。
それにひきかえイザベラさんのはっちゃけていること!
まあ、真面目クンだからなあコレルリは。
ソナタ第1番
演奏はすべて女性からなる古楽団体、アンサンブル・ジョルダーノ・ディ・デリツィエ。
なめらかな歌い回し、スキッと引き締まって艶のある響き、居心地よくリラックスさせてくれます。
(2024.08.03.)