ジョゼフ・ロージー監督/唇からナイフ(1966)
Modesty Blaise



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Tower@jp : 唇からナイフ


8月9日、私が住む四国を台風11号が直撃しようとしています。
よりによって泊まり仕事なのです・・・。
うーむ、雨天中止に・・・ならないよなあ(注:デスクワークです)。
こんな日は家で寝転がって、台風情報の合間に軽い映画でも観るのが正しい過ごし方なのに。

「唇からナイフ」(1966)なんか、ぴったりなんだけどなあ。
女盗賊モデスティ・ブレイズが、時価5千万ポンドのダイヤをめぐり、悪の組織とゆる〜いバトルを繰り広げます。
「女ルパン三世」みたいな感じ。

ストーリーはあってないようなもの。
アクションシーンも緊迫感ゼロ。
煮込みすぎたうどんのようなグダグダ・ユルユルなノリは、狙ってやってる?
でも画面がカラフルで綺麗なのと、主演のモニカ・ヴィッティが好みなので良いのであります。

名優ダーク・ボガードが、悪の組織のボスを楽しそうに演じます。
風光明媚な島にアジトを構える、美食と美酒に目がないロマンスグレーの紳士。
アジトの内装がポップ&キッチュなモダンアート仕様なのも意味不明でGOOD。
「ベニスに死すで、暗くてもったいぶった、もとい、重厚で格調高い名演技を見せた人と同一人物とは思えません。
悪の組織にはやたらと細かい経理のオッサンがいて、出費に目を光らせています。
往年の名作漫画「エロイカより愛をこめて」ジェイムズ君の元ネタはこれ?

クライマックスの戦闘シーンは唐突に「アラビアのロレンス」のパロディ。
馬に乗ったアラブの男達が画面狭しと走り回り、もうなにがなにやらわかりません。
 
「唇からナイフ」Trailer
 

こういうオッシャレでオバカな映画、嫌いじゃありません。
一流の監督俳優ずらり揃えての、生ぬるいB級映画。
なんつう無駄遣い! でもそこがいい!
惜しむらくはおそらく皆さんコメディ慣れしてなくて、あんまり笑えないこと。
でも、そんなもどかしさもいとをかしであります。

真剣に観ると腹が立ちますが、60年代アート&ファッションで眼を楽しませながら、
のんびり眺めるには良い映画・・・かなあ。

原題は”Modesty Blaise”、主人公の名前です。
原作は欧米では有名なコミックだそうですが、日本人にはわからないので「唇からナイフ」って邦題に。
唇からナイフが飛び出すシーンはないけれど、映画の雰囲気うまいこととらえてますねえ。
命名した人のセンス、素晴らしいと思います!

(2014.8.10.)





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