椎名林檎/加爾基 精液 栗ノ花
(2003年)
(東芝EMI TOCT 24942)
曲目
宗教
ドッペルゲンガー
迷彩
おだいじに
やっつけ仕事
茎
とりこし苦労
おこのみで
意識
ポルターガイスト
葬列
加爾基 精液 栗ノ花
「カルキ ザーメン クリノハナ」 と読むそうです(すごいタイトル)。
椎名林檎の「三発目」オリジナル・アルバム(2003年発表)。
思い切りゲイジュツしてます。遊んでます。
曲のタイトルの文字数は、6曲目の「茎」を茎(中心)として、シンメトリーになっています。
そして「茎」という文字はそれ自体シンメトリック。
演奏時間は44分44秒で、CD番号もシンメトリー。
美しいメロディをノイズが切り裂き、凝ったSEも多用。
独奏ヴァイオリンが大活躍する曲があったり、ハーディーガーディ、リュート、マンドリン、シタールなど、世界の民族楽器が登場する曲も。
サウンド的にはどこかビートルズの「サージェント・ペパーズ」を思わせるような。
(もっとも林檎嬢、インタビューで「サージェント・ペパーズ」聴いたこと無いんです、と言ってましたが)
そして七色のヴォーカル。 この人は素晴らしい美声と歌唱力の持ち主(だと思う)ですが、まるで俳優のように、各曲を歌うというより演じます。
大正ロマン/昭和デカダンぽい、凝った言い回し&旧かなづかひの歌詞はとても聞き取りにくく、歌詞カードが手放せませんが、
これもちゃんと詞を読みながら聴いてくださいということかな?(好意的に解釈すれば)
読めば読むほどに、味わいがあるやうな、やっぱりわけわからんやうな不思議な歌詞世界。
前衛アングラ演劇でも見ているような気がしてきます(見たことないけど)。
茎
(この曲、この映像なのにあえて歌詞は英語!)
ただし、どれほど好き勝手やっても、筋ならぬ「茎」が一本通っているせいかバラバラな感じは全くなく、
トータル・アルバムとして見事に完結している印象です。
これだけやりたい放題の、万人向けとはいえないCDがヒットするんだから、すごい人です椎名林檎。
一般のアーティストは、やりたいようにやったら売れないでしょう。
第一、このタイトルでは、レコード会社が許してくれませんよね普通。
本当に幸福なアーティストだなあ・・・もちろん産みの苦しみはあるのでしょうが・・・
(03.3.28.記)