叶恭子の知のジュエリー12ヶ月
(理論社YA新書 2008年)



Amazon.co.jp : 叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)


きわめてまっとうな人生論・人間論


うちの娘たちは「××中学の叶姉妹」と呼ばれているので(←嘘です)
親としてはやっぱりチェックしておくべきと考え読んだ本です(←嘘です)

叶恭子さん、あまりTVを観ない私でも一応ヴィジュアルは存じ上げております。
でも、あのはありえんだろう、と見るたびに思います。
CGで画像処理してるんじゃないでしょうか(ないって)

ただ、そもそも何をする人なのかはよく知りません。

「理論社YA新書」は、ヤングアダルト向けの新書シリーズ。
西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」などを出しています。
(あれは、まっすぐで力強い名著でした。)


本書は、叶恭子さんから思春期の女性向けの、人生論・人間論であります。

したがって私のようなオッサンが読むのは、ちょっと気がひけるのではありますが、
気にしないのであります。
なぜなら叶恭子さんも、冒頭できっぱり宣言しているからです。


 わたくしは自分の価値観で生きています。
 いろいろなことを言われているのは知っていますけれども、
 それによってわたくしの価値観や生き方を変えるつもりはありません。
 たとえ、そのことによって誰からも好かれないとしても、かまわないのです。



わたくしもなんと言われようと、
読みたい本を読みたいように読むのであります。
ただし、なんでも好き勝手にやればいいと言っているわけではなく、


 自分自身が「感じるまま」に考え、行動することが、
 誰かにとっての迷惑やマナー違反にならないかは、
 つねに検討しておかなくてはなりません。
(103ページ)


   ・・・きわめてまっとうです。


「悩み相談」コーナーもあります。

「学校の制服がやぼったいのが悩み」、という中学生には、

 「義務教育の期間に、制服のやぼったさや学校へ行くこと自体を嘆いてみてもはじまりません。」
 一生のうちで制服を着て過ごす時間などわずかなもの。
 学校へは潔く、やぼったい制服を着て向かいましょう」
(24ページ)


「美容形成を受けたいが、親に反対されている」という高校生には

 「万一、何事かあってもその責任を自分で取ることができるという確信を持つことができるのであれば、
 なさればよいと思います。
 ただし、『どのような環境でもその確信は揺らがないかどうか』という観点は、
 忘れないでおきましょう。」
(69ページ)

きっぱり答えながらも、押し付けがましくない姿勢で一貫しています。
ぶれがありません。
 

   ・・・たいへんまっとうです。
 

叶さんのポリシーは、
「自分が好きなこと、確信を持てることに従って生きる。」(9ページ)

ただしそれは、
「『自分勝手』『ひとりよがり』とはまったくちがうこと。
 他人の意見に耳を傾けることと、
 自分に誠実に生きることは矛盾しないのです。」
(10ページ)


   ・・・滅茶苦茶まっとうです。


叶恭子さん、胸部以外はごくごくまっとうで、
かつ確固たるポリシーを持って生きておられる方だということが
よくわかったのであります。
ちょっと尊敬してしまいました。

なお、本書には叶恭子さんの写真はいっさい掲載されていません、念のため。


本文中より気に入った言葉をふたつほど

 「あなたのためを思って」と言う人に対しては、まず
 「自分のために生きてください」と
 言葉を返していきましょう。
(132ページ)

 「お金」とは、簡単に手にしたのか苦労して手にしたのかのちがいはあれ、
 必ず、誰かの「努力の証し」だと思うのです。
(191ページ)

(09.7.14.)

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