ナラ・レオン/イパネマの娘(1985)



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どうも、最近散髪に行ってなくて頭がボサノバの私です。
そういえば30年くらい前にボサノバのCDを買いあさっていた淡い思い出があります。
しかしやがて憑き物が落ちるように熱は冷めてしまい、いまも聴いてるのはこの1枚だけと言っても過言ではないのが

 ナラ・レオン/イパネマの娘(1985)

「ボサノバのミューズ」と呼ばれたナラ・レオン(Nara Leao, 1942〜89)が、1985年の来日時に録音したアルバム。
バックはナラ・レオン自身とロベルト・メネスカルのギター、注意深く聴くと控えめなパーカッションの隠し味に気がつく程度。

 イパネマの娘 
 

わずか3日間で録音されています。
ライナーノートによるとツアー中だったので実質25時間ですべて録音したそう。
ならば適当なやっつけ仕事かと思えばさにあらず、シンプルなサウンドでボサノヴァの神髄を伝えてくれます。
じっくり時間をかけたほうが良いものができるという世界的常識に真っ向から挑戦して見事に勝利を収めた偉大なる名盤と言えましょう(大げさ)。

 あなたと私 (隠れた名曲!)
 

日本のファンにボサノバを紹介する意図があったのか、定番名曲がずらり16曲並ぶ王道の選曲がまた素晴らしい。
曲名はピンと来なくても、聴けば「これどっかで聴いた!」的な曲がつぎつぎ登場します。
私自身、長いこと聴いてますがいまだに曲名は半分くらいしか覚えてません(記憶力消滅)。

 コルコヴァード (聴けば「あの曲か!」と思います)
 

柔らかな温かさの中に一抹の寂しさを感じるナラ・レオンの歌声。
入眠効果を併せもつような、まろやかにして深みのあるボーカルにただ聴き惚れるのみ。
ほとんどの曲が一発録りと思われるライブ感もあいまって、音楽に血が通っています、人肌のぬくもりが恋しい季節です。
ギターのロベルト・メネスカルは「小舟」という曲の作曲者でもあり、本CDのプロデューサーも兼ねています。
単なる伴奏ではなく、ボーカルとの息の合ったインタープレイ、洒落た間奏など、渋い名人芸を聴かせます。

 O Barquinho (小舟)
 

ボサノバ入門に最適なアルバムであると同時に、はっきり言えばボサノバはこれ一枚聴いとけば他はいらないと思うほどです(←暴論)。

 黒いオルフェ (スタンダード・ナンバーにして超名曲。力の抜けたサラリとした歌唱が素敵)
 

(2020.11.28.)

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