柴崎友香/百年と一日
(ちくま文庫 2024)

Amazon :百年と一日
柴崎友香/百年と一日
薄い文庫本に34の短編が収められています。
一編数ページなので、短編小説というよりショートショートです。
しかし、あたかも長編小説を何冊も読んだかのような感覚を覚えるのですよ。
短い物語の中で数十年、ときには百年以上の時間が流れます。
本文と反比例するように各編のタイトルは長く、それ自体があらすじになっています。
たとえば
「たまたま降りた駅で引っ越し先を決め、商店街の酒屋で働き、配達先の女と知り合い、女がいなくなって引っ越し、別の街に住み着いた男の話」(51ページ)
これがタイトルで、本文(全8ページ)の内容はタイトルそのまんまで、作品の中では25年の月日が流れます。
「百年と一日」というだけあって、テーマはたぶん「時の流れ」。
数編続けて読むと、タイムトラベルしたみたいな浮遊感に包まれます(したことないけど)。
何十年もの時が過ぎたような気がするのに、実際には数分しかたっていないことに、戸惑いすら覚えます。
なお、SFじゃないですよ。
純文学・・・なんでしょうね、ちょっと言い切る自信がない・・・なんなんでしょうこれは。
不思議な読後感が味わえる逸品、超オススメです。
(2026.02.08.)