芦原すなお/海辺の博覧会
(ポプラ社 2007年)


Amazon.co.jp : 海辺の博覧会


<ストーリー>
昭和30年代、四国・香川県の海辺の街。
ぼく、マサコ、トモイチ、アキテルと、アキテルの弟フミノリは、仲良し5人組。
毎日、砂浜で元気いっぱい遊んで暴れて暮らしている。
ぼくたちが小学4年から6年に体験した出来事を綴った連作短編集。



がいに面白いで、この小説。


「がい」というのは、香川の方言であります。
「大変」「超」「めちゃくちゃ」という意味です。
「乱暴な」「荒っぽい」という意味もあり、「おたくの娘さん、がいなのー」などと言います。
あくまで例文です。ウチのムスメたちはとてもおしとやかです。わは。わは。わはははは。

元気な子供たちと、のんきな大人たち。 
最近流行の「昭和モノ」。 
「三丁目の夕日」「東京タワー」と違って泣けませんが、そのかわり涙が出るほど笑えます。
でも「笑わせてやるぞ〜」と力こぶが入っているわけではなく、
子供たちの日常をそのまんま描いたら自然に笑いがぶはははは、こいつらアホや!という感じです。

ポプラ社から出ているので、児童書かと思われますが、
いま現役バリバリの子供よりも、かつて子供であった人が読んだ方が圧倒的に楽しめそう。

芦原すなおさんの小説は、女性が強くて男は頼りない、というパターンが多いのですが、
この小説も例に漏れず、しっかりものでスポーツ万能、腕っ節も強いマサコがツッコミ、じゃなくてみんなのリーダー。
「サザエさん」の花沢さんがさらにパワーアップした感じでしょうか。 こ、怖いっ!
男の子でいちばんボケ、じゃなくて印象深いのは、みんなより3歳年下のフミノリ
清く正しい日本のアホガキ、とぼけたことをやらかしてはマサコに尻を蹴り上げられたり頭をはたかれたりします。
好きだなあこういう子供、きっといがぐり頭で青バナたらしてるんだろうな。冬でも半ズボンだぞ。

主人公たちは私よりひと世代上ですが、私の子供時代も似たようなものでした。
「ライギョ」や「ザリガニ」を捕りに川に入って流されそうになったり、
銀玉テッポウの玉が鼻の穴にいくつ入るか競争して出せなくなったり・・・・って、
自分もたいがいアホですやん!(←というかよく死なんかったな)

(07.12.19.)


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