グルダ/チェロ協奏曲、ウルスラのための協奏曲
(ハインリヒ・シフ:チェロ、ウルスラ・アンダース:ヴォイス&パーカッション、フリードリヒ・グルダ指揮)
Amazon.co.jp : Gulda, Cello Concerto
HMV : Gulda/Cello Concerto etc.
Tower@jp : GULDA:CONCERTO FOR CELLO & BRASS ORCHESTRA
ガラッ八:こんちわー、おおっ、また親分が妙な音楽聴いてるでやんすー!
親分:妙な音楽とはなんだよ! 失礼なっ!
八:いったい何なんすかこの曲は、ロック? ジャズ? クラシック??
親:フリードリヒ・グルダの「チェロとブラス・オーケストラのための協奏曲」(1980)だ。
八:つうことは、クラシックなんで・・・?
親:第1楽章「序曲」は、ロックのような部分と、穏やかなクラシカルな部分が交互に登場する、妙な音楽。
八:自分で言うとるやないですかー!
グルダ/チェロ協奏曲 第1楽章「序曲」.
親:第2楽章「牧歌」は、民謡風ののどかな緩徐楽章、中間部のメロディが美しい。
第3楽章「カデンツァ」は、シリアスで緊張感あふれる無伴奏楽章。
第4楽章「メヌエット」は、優雅でちょっとおどけた擬似バロック風。
そして第5楽章「フィナーレ・アラ・マルシア」、能天気全開なカーニバル風マーチ主題のインパクトはどうだ!
グルダ/チェロ協奏曲 第5楽章「フィナーレ・アラ・マルシア」
八:いやあー、ハチャメチャな音楽ですね。 でも楽しいでやんす。
作曲者・・・グルダ、ですか?
名前はどこかで聞いたことがあるような・・・。
親:ウィーン生まれのピアニスト、フリードリヒ・グルダ(1930〜2000)。
20世紀を代表する天才ピアニストのひとりだな。
八:あ、ピアニストなんですかー。
親:伝統と新しさが絶妙にブレンドされたモーツァルトやベートーヴェン演奏は絶品だった。
さらにクラシックの枠内にとどまらず、ジャズもさかんに演奏し、精力的に作曲活動もした。
八:へえー、ジャズも弾いたうえ、精力的に作曲活動ねえ。
親:だから彼の作品は、ジャンルを軽々と乗り越えてるんだなー。
「ウルスラのための協奏曲」(1981)は、三番目の妻ウルスラ・アンダースのために書かれた、
声と打楽器のための協奏曲だ。
八:三番目の奥さんですかー、たしかに精力的だったんでやんすね。
親:歌いながらパーカッションを叩きまくるウルスラの超絶技巧には、ただただ唖然。
このくらいパワフルでないと、グルダの奥さんはつとまらないのかもしれない。
八:ヨーデルみたいな、オペラみたいな、ミュージカルみたいな・・・・・・おまけにバックでドラムがハードなリズムを刻んでるし。
これまたなんつうハチャメチャな・・・でも楽しいです〜。
親:「皇帝」を思われる冒頭からして完全にベートーヴェンをパロっている。
ドラムスが入っているくせにオーケストレーションはしっかりベートヴェン風だ。
ハチャメチャなようで、両端楽章はきちんとしたソナタ形式で書かれているのも面白い。
どちらも聴く人を楽しませようというサービス精神にあふれた曲だ。
これから作曲家としても、もっと知られていってほしいな。
(08.12.8.)