ロッコ・グレコ/バス・ヴァイオリンのための作品集
(Mvsica Perdvta 2021録音)



Tower : バス・ヴァイオリンのための作品集


低音好きにオススメ!

バス・ヴァイオリンとは、17世紀にヴァイオリンを低音部で伴奏する目的で作られた楽器で、
サイズはチェロをやや大きくしたくらいからコントラバスに近いものまでいろいろだったそうです。
「大きいヴィオラ」を意味する「ヴィオローネ」とも呼ばれ、音域はチェロよりも低くなっていました。
このCDでは、G-C-F-Bbに調弦され、チェロよりも5度〜7度ほど低くなっています。
なお、バス・ヴァイオリンが小型化・軽量化して現代のチェロになったと言われています。
またヴィオローネはコントラバスの先祖でもあるそうです。

 (座って弾くコントラバスみたい)

このCDはロッコ・グレコ(?〜1718)という作曲家によるバス・ヴァイオリンのための作品集
低音の魅力を存分に味わえます。

 シンフォニア第2番より アレグロ
 (低音がしみる・・・)

チェロをさらに地味にしたような素朴な音、とにかく渋い、激シブです。
低音大好き、でもコントラバスだとちょっと低すぎるなという面倒臭い低音マニア(私のこと)にはたまりません。
ロックやジャズを聴いていて、いつの間にかベース・ラインを耳で追ってしまう方にもオススメです。

 シンフォニア第19番より 第1楽章
 (なんとも地味な・・・)

正直言ってヴィオラ・ダ・ガンバの音とほとんど区別がつきませんが、暖かく包容力のある響きはとても魅力的です。
だんだんお経でも聞いてるような気分になってきて、心が落ち着きます。

 シンフォニア第3番より アレグロ
 (晴れやかだけど落ち着いたアレグロ)

低音ばかりでは変化に乏しいからか、ところどころにヴァイオリンの曲も挿入されています。

 ヴァイオリン曲(無題)
 

グレゴリオ聖歌と共演する曲もあります。
教会で礼拝のお供としても使われたのかな。
ポジティブ・オルガンの音といい具合に溶け合います。
典雅で柔らかな時間の中で、控えめな官能とノ―ブルな抒情が香ります。

 (ポジティブ・オルガンの音が暖かい)

枯淡の境地というか、幽遠の趣というか、耳当たりの柔らかい、抑制されたひそやかな響き。
朴訥としたおおらかさが感じられ、メロディもどこか人懐こく聴こえます。
ヴァイオリンのように居丈高になることなく、静かに音楽と向き合うバス・ヴァイオリン、素敵ですね (い、いまヴァイオリニスト敵に回した?)。

 シンフォニア第20番より 第1楽章
 (低音の渋い魅力を満喫できる楽章)

(2023.05.03.)

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