<ストーリー>
秋の演奏会を控え、ヴァイオリン専攻の音大生・晶は、
チェロの初音とともに練習に励んでいた。
ところが初音が演奏会で使用する予定だった大学秘蔵のストラディバリウスのチェロが
密閉された保管庫から消失!
さらに彼らの身に次々に不可解な事件が…。
メンバーたちは、果たして無事に演奏会を迎えることができるのか。
正月休みが明けて四日働いたら、1月8日(土)〜10日(月)は三連休、嬉しいことです。
この三連休は、たいした仕事も入ってなくてまあまあ休めそう。
積読本&積聴CDでも消化しょうか(←スミマセン)ってわけで、読書三昧、音楽三昧の予定となっております。
今日は、中山七里「おやすみラフマニノフ」を読みました。
「このミステリーがすごい」大賞を受賞した「さよならドビュッシー」につづく、音楽ミステリ第2弾です。
ミステリとしては、良い具合にユル〜イ出来上がりで、
密室からのチェロ盗難トリックなど、い〜い笑顔で楽しく読ませていただきました。
殺人が起こらないのもいいです。
好きだなあこういうノリ。
前作以上に楽しめました。
ただ、「本格ミステリ」と思って読むと、がっかりするかもしれません。
むしろ読みどころは、「青春音楽小説」としての側面。
将来音楽で飯が食える当てはないにもかかわらず、いやだからこそ、
必死で研鑽を重ねる音大生たちの姿が、熱い共感とともに描かれます。
前作「さよならドビュッシー」で登場した傲慢ピアニスト・下諏訪美鈴も再登場、
今回はおいしいとこさらっていきますよ。 いいなあ、このキャラ。
そして緻密に書き込まれた演奏場面。
正直やや微に入り細に入りすぎている感がなきにしもあらずで
「ミステリ」として読んでいた人は、読み飛ばしたくなるかもしれませんが、
音楽小説としてはここが読みどころ。
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」をBGMにしながら読むと、雰囲気最高です。
私が選んだのはエレーヌ・グリモー独奏/アシュケナージ指揮の録音。
これは積聴ではなく、以前から愛聴しているディスクです。
とろけるようなロマンティシズムにあふれたグリモーのピアノは優雅の極み。
繊細でありながら強靭さも兼ね備えていて、個人的にはこの曲の理想の演奏のひとつです。
中山七里のミステリ風味・青春音楽小説シリーズ、続刊がたのしみです。
次作のタイトルは、「おはようモーツアルト」?それとも「ごめんねチャイコフスキー」?
あるいは「おかえりショスタコーヴィチ」とか?(←余計なお世話)
(11.1.9.)
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You Tube/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番・第1楽章
(エレーヌ・グリモー)
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