カール・ハイアセン/復讐はお好き?
(文春文庫 2007年)
Amazon.co.jp : 復讐はお好き? (文春文庫)
<ストーリー>
「あの男、許さない!」
結婚2周年を記念したクルーズ旅行で、
豪華客船から夜の海に突き落とされた美貌の若妻ジョーイ・ペローネ。
突き落としたのは夫で生物学者のチャズ。
世捨て人のように暮らす元警官ミックに救助され
奇跡的に九死に一生を得たジョーイは、
自分は死んだと思わせたまま、徹底的に意地悪な仕返しに着手する。
いやあ、奥さんを大事にしないとえらいことになりますね。
昨年の「このミステリーがすごい!」などで高い評価を得た小説ですが、
はっきり言って全然ミステリじゃありません。
ドタバタ・コメディですねこれは。
笑いながらサクサク読んでスカッとできる作品、こりゃ面白いわ。
奇人変人のオンパレードですが、何といっても夫のチャズ・ペローネが最高。
口がうまくて身勝手で、卑怯で、短絡的で、冷酷で、スケベな、悪いやつなんですが、
同時に悲しいくらいお間抜けで小心者、なんだか憎めません。
殺したと思った妻ジョーイに追い詰められる姿に、ちょっぴり同情心までわいてきます。
あくまでちょっぴりですが。
ほかにも、巨大な蛇を2匹も飼ってる刑事とか、
道路わきに立ってる十字架(交通事故の慰霊碑)を抜いてはコレクションしている毛むくじゃら用心棒とか、
人間より羊が何倍も好きなジョーイの兄などが入り乱れて、
豪華原色変人図鑑の様相、妻を殺した(と信じている)チャズをいじめまくります。
ベット・ミドラー主演の「殺したい女」(1986)という映画を思い出しました。
富豪の妻(ミドラー)が誘拐され、身代金を要求する脅迫状が届きます。
ところが、妻の尻に敷かれていた夫は大喜び。
すぐに警察に知らせ、身代金は出し渋り、妻を殺してくれといわんばかり。
いっぽう妻は、誘拐犯たちと意気投合し、冷たい夫に復讐を計画する、というもの。
うーむ、奥さんを怒らせると大変なことになるのですね・・・。
普段から大切にしておかなくてはいけません。
え、お前のところはどうなのかって?
決まってるじゃないですか、我が家は円満ですよ、何を言っているんですか。
う、疑うんですか? いやだなあ、あは、あは、あはははは・・・。
(08.6.29.)