高原英理/ 不機嫌な姫とブルックナー団
(講談社 2016年)



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図書館の非正規職員として働く代々木ゆたきは、コンサート会場で「ブルックナー団」を名乗るオタク3人組に声をかけられる。
その一人、タケがサイトに書き継ぐ「ブルックナー伝(未完)」を読んだゆたきは、意外な面白さに引き込まれていく。
19世紀ウィーンを代表する作曲家ながら「非モテの元祖」というべき変人ブルックナーの生涯は、周囲からの無理解と迫害に満ちていた。
そんな彼に自分たちの不遇を重ねる3人組とつきあううちに、ゆたきの中にも諦めていた夢が甦ってきて…。


「ブルックナーはお好き?」

私は苦手です。
でも、決して嫌いなわけでも興味がないわけでもありません。
交響曲全集は4種類ほど持ってます。

つまり、よくわからないのです。
評価が高いのによくわからない音楽は、別の演奏で聴けば理解できるかもと、かえっていろいろ買ってしまいます。
しかしやっぱりよくわかりません。
生で聴いたら違うかなあとは思うんですが、四国では滅多に聴けませんしね。
どっかに粋で小洒落たブルックナーがあれば、ぜひ聴きたいものです(それはすでにブルックナ−ではない)。

さて世間には「ブルヲタ」と呼ばれるブルックナー・オタクが存在することは風の噂で聞いております。
彼らの生態をライトに描きつつ、ブルックナーの面白エピソードを随所に盛り込んだこの小説、
前代未聞的にサイコーなブルックナー紹介本であります。

 高原英理/ 不機嫌な姫とブルックナー団

現代パートで描かれるブルヲタの生態は興味深く、こういう人たちには近寄らないでおこうと思わされるに充分ですが、
さらに素晴らしいのが「ブルックナー伝(未完)」で披露される、ブルックナーの逸話の数々。
本人は大真面目なのに、他人から見るとただただ笑えるタイプの典型。
小心者で、口下手で、鈍重で、訛りがひどく、いつもオドオド、それでいて思い込みは激しく、妙に図々しく、おまけにロリコンで強迫神経症。
しかしなぜかその人には天才的な作曲の才能が宿っているという・・・存在自体がカオスです。
知ってる話が多かったですが、語り口が巧みなので大変面白く読みました。
「交響曲第3番」初演のくだりなど、涙なくして読めません(半分は笑い涙)。
いるよなあ、こういうふうに空回りする人って、と思いつつ、他人事ではないと思いました。

弟子であるマーラーはこの初演を聴きながら、重要な作曲上のヒントを得ていた、という斬新な解釈には唸りました。
そのマーラーは、師ブルックナーのことを「半分神で半分阿呆」と言ったそうです(多分親しみをこめて)。

もちろん、ブルックナーの交響曲第3番を聴きながら読みました。
・・・やっぱりよくわかりませんでした。

 ブルックナー/交響曲第3番より
 

(2016.12.18.)




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