深町眞理子/翻訳者の仕事部屋
(ちくま文庫、2001年)



翻訳本(とくにエンターテインメント系)がお好きな方なら、
必ずお世話になっているはず、といってもいい翻訳者、深町眞理子さんのエッセイ集です。
まとめて書いたものではなく、1970年から1998年までに、あちこちに書いたものを集めているので、
統一感はあまりなく、やや古さを感じさせる文章も混じっていますが、
そこここから、「プロの翻訳者」の心意気・プライドが香ってきます。

深町さんは、「翻訳家」という言葉はお嫌いだそうで、ずっと「翻訳者」でとおしています。
そして良い翻訳者になるためにもっとも重要な条件は、語学力よりも、
「本を読むこと、そして文章を書くこと」が何よりも好きなことだとおっしゃっています。
だったら私にも資格あるかも・・・って別に今さら翻訳者になるわけではありませんが。

深町さんは、ルース・レンデルとスティーヴン・キングをたくさん手がけていますが、
面白いことに、この二人の作品について、「必ずしも好きではない」と告白しています。
レンデル・ファンのB・Bさん、ごめんなさい(なんで私があやまるんだ?)。
しかし、「翻訳者として作品に向かう以上、個人の好悪の感情をもちこんではならないし、
それによる弁解(不得手な分野だからうまくいかないといったたぐいの)もいっさいしない」

と述べておられるあたり、いやあ、プロですね。

あと、国内ミステリもたくさん読まれているようで、
島田荘司さんや、折原一さんのファンだとは、ちょっと意外。
私も初期の島田荘司さんは大好きです。

巻末には、例文つきの「フカマチ式翻訳実践講座」もついていて、
翻訳という仕事に興味ある人、あるいは翻訳本の好きな人には、大変面白い読み物です。

(02.3.28.記)

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