これ大当たり! 面白かったー!
五編からなる短編集。
すべて高校生が主人公。
なので青春てんこ盛り状態です。
本全体から青春汁がほとばしってます。
高校時代はすでに地平線の彼方に過ぎ去ってしまったオッサンの私、
こういう本を読むときには親目線で、
「キミたち愚かなことをしているねえ、しかしそれもまた青春だよ、ふっふっふっ」
と、いやったらしい読み方をしているかと思えばさにあらず、
すっかり高校生の心に戻って読みました。
女子高生と引きこもり青年の奇妙で馬鹿馬鹿しい週に一度の交流(?)を描いた、「金曜のバカ」、
このふたり本当に馬鹿ぢゃー!(←褒めて・・・るかもしれない)。
よく考えるとありえない奇天烈な展開ながら、ぐいぐい読まされて、妙にさわやかです。
しし座流星群の夜に出会った高校生男女が、数年後に意外なかたちで「再会」する「星とミルクティー」。
生まれた街・松山が大嫌い、東京に出て行きたい男子高校生のイタイ正月を描く「この町」。
恐竜オタクであるために振られたことがある僕、
新しいガールフレンドの前では恐竜の話をしないように必死でこらえるが・・・「僕の愉しみ 彼女のたしなみ」
後輩より下手なホルンしか吹けないのが辛くて吹奏楽部をやめ、ヒマになった私、
今日も老犬ゴンを散歩させに浜辺にやってきた・・・「ゴンとナナ」。
いやあ、青春ですねえ。
さわやかだったり、恥ずかしかったり、イタかったり、いろんな青春があります。
オタクっぽい登場人物が多いのも特徴で、
鉄道オタク、恐竜オタク、野球オタク、天文オタク、いろいろ出てきますが、
みんな肯定的かつ前向きに描かれていて、好感度大。
越谷さん、こんどクラシック・オタクもさわやかに描いてはくれませんかねぇ・・・・。
・・・え、ぜったい無理・・・・!?
(10.6.17.)